秋の夜長



〜written by sugar〜






 
少し北に行くと

山々はすっかり紅葉している。




山の色が

黄色

茶色



心を落ち着かせる色に変化している




やがて

葉は落ちてしまい

しっぽりと

白い雪に覆われるのだろう



都会の喧騒の中にも

その秋を知ることが出来るようになってきた。




「もうそんな季節なのだな」

ふと、街路樹の様子

吹いてくる風の中に

秋を感じる男が居た。



そうだな

日が暮れるのも早くなった。

夜が長くなったものだ・・・・




センチメンタルな気分になるのは女性だけではない。


秋という季節は

ふと、自分を振り返り

考えさせられるような季節だと思う。



実りの秋

そういうが

仕事にせよ

プライベートにせよ

実りがあっただろうか・・・

そんな事を思ってしまうのだ。



仕事だけに打ち込んできた



結果が全て


そう信じてきた。




しかし


秋になると



本当にそれで良いのだろうか?

来る冬に備えて

物質的な豊かさのみを求めているのではないだろうか・・


そんな事を思ってしまう。


本当に来る厳しさを乗り越えるには

精神的に支えあえるのもが必要なのではないだろうか・・






そんなもの

求めたこともなかった。



あの少女に出会うまでは



心が揺さぶられ

溢れる想いに戸惑いを隠せなかった。



自分の信念

価値観が根底から覆された衝撃



そして



自分がどんなに孤独で寂しかったかを思い知った。




寂しい

孤独だ


それは

当たり前だと思っていた。



出会ってしまったら

もうどうしようも無かった。



知ってしまった以上

知らなかった状態には


もう

戻れない。



そう

戻れない。







ゆっくりと降り注ぐ雪



やがて秋は終わり



厳しい冬がやって来る。







「速水さん〜」



彼女の声がする。


振り返ると

息を弾ませながら

頬をばら色に染めて

懸命にかけてくる。



「戻れないのではなく その必要が無くなったんだな・・」

微笑しながら小さく呟く。


彼女が腕にしがみついてくる。

「初雪ですよ〜初雪!冷えるはずですねぇ」


「こうして居れば寒くないだろう」

微笑みながら

彼女をコートの中に入れ

抱きしめる



冬の厳しさは


本当の優しさ

暖かさを分かち合うためにある




秋の夜長は


その暖かさを

優しさの必要性に

気づくためにある





そんなことを思うのだった。



              




終わり



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送