楽しい温泉旅行の夜
*このお話は、表にある「楽しい温泉旅行」の続きです*
くだらない露天風呂タイムが過ぎると、真澄とマヤは部屋に戻ってきていた。
「ま・・まあ・・・な・・・」 真澄はブルーな気持ちを引きずりながらそう答えた。 ・・・確かにそれなりに時間を忘れて楽しむことはできたし、運動不足の解消にはなったように思う・・・。 しかし彼は、心の中で不完全燃焼というか、何もかもが自分の理想とかけ離れてしまったというイライラを感じていた。
やたらと嫌な予感だけは当たるのだ。 宝くじなどは1000枚購入しても当たらないのに・・・!!
真澄は、浴衣姿のマヤと隣の和室を交互に眺めながら、そんな不安をかきけすように自分に言い聞かせた。 ・・・夕食の時間になり、次々と料理が運ばれてくると、マヤは目を輝かせながらキャーキャーと声をあげ、喜びを表した。
立てて湯気を出し始めている。
関して夢中になってくれても・・・などと考えてしまう部分もある。 だいたい、屋敷に入ってからというもの、それなりに夫婦生活はエンジョイしてきたつもりであるが、どう考えても欲深く彼女を求め るのは真澄であり、彼女はそれに応じているだけという気がしてならないのだ・・・。 ・・・今夜は2人きりということもあるのだし、ちょっと積極的な彼女を見てみたい・・・。
あれこれと考え事をしている真澄を気にすることもなく、マヤはペロリと舌を出し、待ちきれずに刺身に手を伸ばしていた。
「・・・・」 真澄はそんなマヤの言葉を聞き、 『俺も刺身になりたい・・・・マヤの口の中でとろけてみたい・・・』 などと考えながら、無言で箸を進め、再び思考をめぐらせる。
するのではなく、できれば隣同士で体を寄り添わせながら、『これ、おいしいよ♪ あーーん♪』などという展開があれば、 どれほど幸せだろうか・・・。 真澄はバカな期待をしながらも、食べることに夢中なマヤを見て軽く溜息をついた。 『だめだ・・・・俺がここにいる事すら忘れているんじゃないか・・・・?』 毎度ながら、取り残されたような気持ちで虚しくなる真澄。
マヤは、黙り込んでいる真澄に向かい、ウキウキと仕事の話を持ち出していた。 「声優・・・そういえばそうだったな」 「うん。 子供向けアニメの『とっとこハブ太郎』の映画で、スペシャルゲストの『マヤハブちゃん』の役よ! もうすぐ試写会が あって挨拶もするし、真澄さんも来れたら来てね!」 「・・・・・・・」 真澄は、あまりに色気と無関係な話題に白目になる。 別に、『とっとこハブ太郎』が悪いわけではないのだが・・・。 「どうしたの?真澄さん・・・・試写会には、ハブ太郎の着ぐるみも来るんだよ〜」 ムシャムシャとご飯を頬張りながら、とても嬉しそうに話をするマヤ。彼女の頬っぺたには、ご飯つぶまで付いている・・・。
真澄は、ますます理想の展開から外れていく事に気付き、焦りはじめていく。
突然、マヤが困ったように質問をしてきた。
「ほら・・・ここをこうやって強く押すんだ・・・・」 真澄がスイスイと手を動かし、いとも簡単にカニの身を取り出すと、マヤは感心したような表情で彼を見つめた。 「すごーーい♪♪」 「これくらいは簡単だ・・・」 マヤに誉められてちょっぴり嬉しい真澄。
マヤは首を傾げるような表情で真澄の手元を見つめ続けていた。
「俺が器用なんじゃなくて君が不器用なんじゃないのか? ・・・ほらっ・・・」 と、そう言いながら大きく手を伸ばし、カニの身を差し出したその時・・・ ――パクッッ―― 「・・・・・・おいひい♪・・・・」 ・・・突然マヤが大きく身を乗り出し、彼が手にしているカニの身にパクリと食いついたのだった!
一瞬の出来事で驚いた真澄を尻目に、マヤは満足そうに口を動かしてモゴモゴと叫んだ。
マヤは潤んだ瞳で真澄にカニをねだる。 「そう・・・か・・・もっと剥いてやろう・・・。食べやすいように、隣においで・・・」 「うん・・・・」 いそいそとしながら真澄の隣に座り込むマヤ。 真澄にとって、かなりラッキーな展開である。
そんなやましい事を考えながら手を止めていると、マヤが言った。 「真澄さん〜早くゥ・・・・お願い・・・・」 「!!!!!!」 まるで、別のシチュのようにも思えるセリフだ!
彼女は嬉しそうな表情でパックリと食いつく。
真澄は、思わず心の中で声をあげた。
「あ、・・・指まで食べちゃったっ・・・」 マヤは全く何も考えていないようで、笑いながらそう言ったのだが・・・真澄のイケナイ妄想ポイントは20点を超えた。
で湿らされた親指は、一瞬でひんやりとした温度へと変わってしまったのだが、彼の別の部分は熱くなるばかりだ。
マヤに声をかけられ、どうにか冷静さを取り戻した真澄は、また新しいカニの足を手にし、無言で剥きに入る。 「あーーん♪ ・・・・あ、なんかそれ、太くておいしそう♪」 「!!!!!」 何気ないマヤの言葉に、ひとつひとつ敏感に反応する真澄。 マヤは、その太くて大きな身を口に含むと、チューチューと、エキスを味わうように、しゃぶりついていた。 「すごいっ!汁もおいしい・・・!真澄さん、もっと欲しいよォ・・・!もっともっと!!」 マヤは、自分の手の指をペロペロと猫のように舐め、更に求めてきた。
『くうううっ!大都芸能社長のこの俺が!こんなにスケベなことばかり考え、しかも妻の為にカニを剥いているとは!!』
そして、白くて細い喉元を動かしながら、ひたすらチューチューと音を立てながらカニを味わっている。
「あ、ああ・・・今すぐに・・・・・・・」 と、そう言いかけた真澄が突然、軽く叫ぶ。 「痛っっ・・・」
切ってしまったのだ。
マヤは、真澄の腕を掴むと、少しだけ血の滲んだ親指の先端を確認した。 「大丈夫だ。怪我というレベルのものじゃない・・・さあ、続きを剥こうか・・・」 「でも・・・少しだけど血が出てる!」
「・・・?」 そして、呆然としている真澄に構わず、彼が怪我をした親指を口に含むと、血を拭うようにしてゆっくりと舐め上げた。
真澄は、唐突の出来事に驚いて声を出しそうになり、目を白黒させる。 『す、すごい・・・!これが指じゃなければ・・・・!!』 マヤの舌がゆっくりと上下する度、真澄は震えるほどの快感を体中に感じていた。
心の中で気合をいれ、ガッツポーズをする真澄。
「ああ・・・」 ・・・食事の片付けと布団を敷いた仲居が部屋から下がっていくと、2人は隣の部屋へと移動した。
淡い期待を胸に抱いている真澄であったが、マヤが大きなあくびをしたのを目にし、慌てて考えを改める。 『いかんいかん・・・マヤのことだから、誘わなければそれで寝てしまうだろう・・・』
まま寝てしまうような子なのだ。ぼやぼやしていたら、気付いた時には爆睡モードになっているかもしれない・・・。
手をかけ、解いてしまった。
マヤが驚いて声を出す。
と言いながらグルグル回転する予定である。
散歩のような状態が続き、沈黙が流れる。
「・・・・いや、別に・・・・」 『こうなったら、勢いでいくしかないっ!!!!』
マヤは拒否することはなかった。 しかし、いつも通り、真澄にすべてを任せたままにしようとしているのが分かった。 真澄は愛撫を繰り返しながら、先ほどから激しく欲望している事を求めてしまおうかどうか、悩み始めてしまう。
いざという時になると、なんだか勇気が出ないという成長しない男、それが速水真澄の最大の欠点だ。
『なんだ・・・・いつもと違う雰囲気で感じているんじゃないのか・・・?』
彼が静かに耳元でそう尋ねると、マヤは顔を赤らめながら、無言のままでいた。 しかし、否定しないところを見ると、まんざらでもなさそうだ。
途切れ途切れに言葉を出した真澄であるが、マヤは意味が分からず、ポカンとした表情で真澄を見つめていた。
真澄は、大きな溜息をついた。 しかし、そういうマヤだからこそ、純情で愛しくもあるのだ・・・。
遊ばれ、ペースにハマってしまったのだ・・・今度は自分がちょっぴり悪戯をしても許されるような気もする・・・・。
「・・・??」 マヤは、不審に思いながらも、ゆっくりと目を閉じた。 「そうだ・・・いい子だ・・・・そのまま・・・・口をあけてごらん・・・」 「???」 マヤは、言われたとおりに小さな口をあけて目を閉じ、横たわっていた。
真澄は調子に乗り、次々と注文を出していく。 「もっと大きく口を開けて・・・さっきカニに食いついたくらいの大きさだ・・・いや、もっと大きく・・・だ・・・!」 たかがタラバガニと同じくらいのサイズだなんて冗談じゃない。
・・・そして彼女は自分に近づいてくるモノを目にすると一瞬間を置いたものの、 「きゃあっ」 と大きな叫び声をあげた。
「ま、真澄さんっ!何をするんですかっ?」 マヤが上半身を起こして軽く抗議してきたので、真澄は開き直って答える。
「や、やだあっ!そんなコト!!考えたこともないし、知らないっ!そんなの、ヘン!」 「バカっ!常識だっ!みんなしてるんだよっ!」 真澄がムキになってそう答えると、マヤはびっくりして言葉を失っていた。
「・・・・・・・・」
そんな風に落ち込み始めていると、ようやくマヤが小さな声を出してきた。
「あ・・・ああ・・・まあ・・・・」
そして、先ほどカニに食らいついたときのような勢いはないものの、ゆっくりと真澄自身を口に含んだ・・・・・。
真澄が、背を仰け反らせるほどの快感に浸っていると、マヤはそのままどうしていいのか分からず、動きを止めていた。
真澄の言葉にビクリと反応したマヤは、急に鋭い目つきをし、真澄自身をなぶり始めた。
今までに感じたことのない、猛烈な快感が真澄を襲う。いつものボンヤリとしたマヤではなく、まるで演劇に没頭しているかの ような彼女。 普段の恥らう彼女も良いが、こんな風にリードして激しく求める姿は最高に淫らである。 真澄は、天にも昇ってしまいそうな気持ちよさに、頭の中が真っ白になっていた。
ここぞとばかりにマヤをその気にさせると、彼は浮き上がりそうな気持ちよさの海を漂いはじめる。
は真澄の興奮を高めて止まない。
まさに夢見心地の真澄。 ・・・・であった・・・・・が・・・・・ その瞬間は突然、前触れもなく訪れた・・・・・
ポカンとしているマヤであったが、真澄はあまりの痛さで言葉も出ず、うずくまったまま半泣き状態になり、まるでカニのように 泡を吹いて倒れていた。
「★!△×!●#☆!!!!」
翌日、疲れた顔の真澄と笑顔のマヤが屋敷に戻ると、使用人達に一斉に出迎えられた。
元気良く答えたのはマヤだけである。真澄はクタクタに疲れ、期待はずれな出来事の連続のショックからまだ立ち直れて いないのだ。
「ただいま帰りました!!ええ!とっても楽しかったんです!! ・・・ね、真澄さん?」 「ああ・・・」 マヤに問いかけられ、真澄はどうにか返事を返した。彼にとっては楽しいどころか、何もかもが予定通りにいかなくてとんでもない 旅行だったのだが。
「あ・・・ああ・・・まあ・・・な・・・・」 『オイオイ・・・そんなこと、バラすんじゃないっ!』
英介がチラリと視線を送ってきたので、咳払いをして誤魔化す真澄。
遊べてよかったです!」
実際には水鉄砲やら水泳を真剣にして遊んでいたなどとも言えない・・・・・。
あと・・・・お部屋も綺麗でご飯もおいしくて♪ 残念なのは、その後、あたしの不注意で真澄さんが怪我を・・・・」 「マヤ!!!!もういいから、部屋に戻って少し休むぞ!!」 マヤは、真澄がカニを剥く時に怪我をした話題をするつもりであったが、真澄は別の部分の怪我の話かと勘違いをし、大慌てで 口を出すと、強引にマヤの腕を掴み、部屋へと連れ去った。
真澄は部屋に戻ると、大きな溜息をひとつついた。 そもそも、マヤを相手にそんな期待をしていくほうが悪いのだが。
『失敗は成功のもと!3歩進んで2歩下がる精神が大事なんだっ!』 と・・・。
<おしまい> どひゃーー! 今回のキリリクにも、結局地下作品をつけてしまった・・・・。別に、takumiさんが希望したわけではないんですが、 なんとなく・・・。こんな話で地下でごめんなさい〜!またそのうち、正統派な地下(なんだそりゃ)も書きたいな〜。 お付き合いくださいましてありがとうございました。 多忙な時期に無理やり書いた作品なので、今まで以上に雑ですみません。
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