うらはらなココロ
真澄とマヤの交際宣言から1年ほど過ぎたある日のこと・・・
思わず言葉に出してしまい、マヤは真っ赤な顔で慌てて口元を押さえた。 ひたすら真澄にしがみついて過ごした最初の夜の行為は、やけに生々しく記憶に残っている。
『あたしも都合の良い女だったらどうしよう!!!』
『今日は・・・流されないもん!! 今日はぜったいに、しないもん!!』 マヤは、そう心に決め、真澄の元へと向かった・・・。 ・・・いくらなんでも、こう会うたびに体を求めるのは、ちょっとやりすぎではないか・・・ 真澄もマヤと同じようにそんなことを考えていた。 もちろん、それは3回目の夜も4回目の夜も考えていたのだが・・・・・体が言うことを聞かず、結局彼女を抱いてしまった。
彼女が締め付ける温かい体内は、何物にも変えられないほどの快感であり、普段見ることのできない乱れたマヤの 表情は思い出すだけでもゾクゾクと誘惑の罠を仕掛けてくる。
嫌われてしまうかもしれない・・・。これこそ 【愛のかけひき】 というものなのだ!!』
「お待たせ・・・速水さん!!」 マヤは、いつも通りタクシーで真澄のプライベートマンションへとやってきた。
今日は真澄のほうが帰宅が早かったこともあり、彼はすでにラフなシャツでくつろいでいたのだ。
真澄はやさしくマヤを出迎え、ふわりと抱きしめる。
真澄はその思いを無理やり心の中で抑え、マヤに言葉をかけた。 「シャワー・・・入っておいで・・・」
『やっぱり、あたしを抱くことしか考えてない・・・・?』
「今日は、映画でも見ないか? 仕事の関係で試写しようとしたビデオがあるんだが、君と見たくて持ち帰ったんだ。」 『え?・・・あ・・・はい・・・」 「途中で眠くなってもすぐに寝れるように・・・早くシャワーを浴びておいで」 真澄に促され、マヤは気が抜けたように浴室へと向かう。
マヤは、あまり嬉しくなさそうに、ぼんやりと考え込んでいた。 何となく、今日は誘ってこないような雰囲気があったような・・・
『やだやだ!今日はそういうつもりじゃないって決めたのに!あたし、何考えてんだろ!!』
ゾクゾクッと体中が熱くなり、真澄の唇のぬくもりを思い出し、それと同時に体の中心が熱く疼(うず)きだしていた。
こんな気持ちを真澄が知ったら呆れてしまうかもしれない・・・。
浴室を出ると、マヤはお決まりになった真澄のパジャマの上着を身につけた。 そして・・・少しためらいながら、なるべくいつも通りの表情を作りつつリビングに足を運ぶ。 真澄は部屋を暗くして、ソファーに身を任せてこちらをじっと見ていた。
「あ・・・はい・・・今・・・」 真澄に言われるまま、マヤはソファーへと向かう。
ブランデーグラスが2つ並んでいた。
彼女のスラリとした細い足は艶かしく伸ばされ、真澄の視線を奪う。 大きめの男物もパジャマは、マヤの小さな肩から 簡単に外れ落ちてしまいそうなほどにサイズが合っていない。 マヤが少しでも身を屈ませれば、白い上半身が見え隠れ しそうである。
・・・ところが、その動きにビクリと反応したマヤがいたので、真澄は慌ててサイドテーブルの上のリモコンを掴み ビデオをセットし始めた。 「・・・うん・・・」 マヤは、真澄が操作しているリモコンをじっと見ながら、複雑な気持ちになっていくのを止められずにいた・・・。 「どうした? 今日はかなり疲れた顔だな・・・。途中で寝てもいいぞ。・・・まあ、君はどんな映画でも途中で寝るなんて ことはなさそうだけどな。」 「・・・・・」
・・・映画が始まった・・・ いつもなら画面に食い入るように見入ってしまうはずなのに、まるで目に入ってこない。
彼が息をついたり、軽く身動きする度に息を呑んでしまう。 2人が触れている肩の辺りから、どんどん熱が込み上げてくるのが分かる。 映画にも集中できないほど隣の真澄に 意識してしまう自分が、ものすごくいやらしい存在に思え、必死で忘れようと画面を追う。 『あたし・・・やっぱりヘンだ・・・エッチなことばっかり考えてるんだもん・・・』
キスぐらいなら・・・という思考が頭をよぎるものの、そこでやめる自信がなく、慌てて気持ちを抑える。 ・・・それと同時に、どうも様子のおかしいマヤに対しての不安も隠しきれない。
「・・・・・」
・・・・・・ゴクリ・・・・・・・ マヤと真澄は、ほぼ同時に息を呑んだ。
『うっ・・・なんでこんなシーンが・・・!!ダメだ・・・たかが映画のベットシーンに洗脳されて妙な妄想をするなど、 大都芸能の速水真澄にあるまじき行為だ!!』 『ちょ・・・ちょっと!!やだ・・・すごい過激・・・』 映画の内容としては、別れを決意した2人が最後の夜と決めて抱き合う、という、感動的なシーンのはずだった。
「マヤ・・・・」
「んんんっ・・・」 左手でマヤの頭の後ろを押さえ、マヤの口内に舌を入れながら激しく唇を押し付ける。 マヤも、抵抗する気持ちはとっくにどこかに吹っ飛んでいた。 真澄は右手でマヤの着ているパジャマの下から手を差し入れ、素早く左手も後ろに回すと、ブラのホックを一瞬で外した。 そして、更に上の方までパジャマをたくし上げると、真っ白なマヤの乳房があらわにさせた。 「きゃっ」
場所が違うということ、そして部屋こそ暗いもののテレビの画面からチカチカと出てくる明るい光によって 自分の体がリアルに真澄の目にさらされている、という恥ずかしさがマヤの脳内に充満していく。
マヤは体をよじりながら、小さな声で軽く抵抗した。
欲望のままにこの場所で押し倒し、いつもよりもはっきりとした視界で見るマヤの裸体。 それだけでも充分に魅力的で あるというのに、彼女の恥じらいや抵抗する姿は、真澄の征服欲をかきたてて止まらない・・・。
「あんっ・・・」 声を漏らしながら、マヤは無意識にそっと真澄の頭に両手を回し、強く自分の体に押し付けていた。 積極的な彼女の行動に少し驚きながら、真澄はさらに愛撫の力を強めていく。 彼女が自分の手によって調教され、溺れていく姿は最高に気分を高ぶらせていく。
「やんっ・・・」 マヤの恥らった叫び声も軽く聞き流し、彼女の両足を大きく開かせ、膝を立たせると真澄は じっと彼女の中心部分を 見つめたまま、動きを止めた。 「み・・・見ないでっ・・・」 今更ながらの彼女の言葉が愛しくて仕方がない。
「あ・・・・っ・・・んん・・・」 ぬるぬるとした彼女の中は真澄の指を軽々と受け入れ、惜しみなく蜜をこぼしていく。 「いつの間にこんなにエッチになったんだ・・・ん?」 真澄がマヤの耳元でそう囁くと、彼女はカーーーっと顔を赤らめ、横を向いてしまった。
「だって・・・・は・・・・やみさん・・・が・・・あんんんっ」
「あんっ・・・・あああっ・・」 そして、たっぷりと蜜の絡みついた指を抜き出すと、そこから花びらをなぞるように突起部分へと移動させる。 「やあんんっ・・・んんっ・・・」 待ちかねていたようにマヤは腰をビクンと反応させ、足をダラリと崩した。
ズボンとトランクスを脱ぎ捨て、大きくそそり立つ自分自身をマヤの中心へと押し付けた。
「あああっ・・・!!!」 マヤが一際大きな声をあげた。
お互いにその部分だけを露(あらわ)にし、乱れていくのは、ある意味とても刺激的であった。
過ごしてきただろう。 あれほどまでに辛く感じた最初の夜が嘘のように思える。 認めるのが恥ずかしいものの、確実に自分の女の部分は 真澄自身を求め、受け入れる悦びを知ってしまったのだ。
「・・・すごく・・・いい・・・」 真澄が思わずそう呟いた・・・。 その吐息のような真澄の興奮した声に、マヤもまた感じてしまう。 「あんん・・・・ヘンになりそう・・・・あたしっ・・・・」 「い・・・く・・・・!!」
思いと共にすべてを開放させた・・・。 繋がったままの状態で、2人は倒れるようにソファーに横になっていた。 「う・・・んん・・・」 マヤは放心状態で虚ろな目をしながら体をダラリとさせたままだった。 真澄は、愛しそうに彼女の髪を撫で、額に数回、軽くキスをする・・・・。
重要なことなのだ・・・と都合よく解釈している自分がそこにいた。
「・・・お互いに・・・我慢しないで・・・したい時にしたほうがいいかもな・・・」 マヤは、キッと目を見開くと、真澄に突っかかって言い返した。 「速水さんのエッチ!!バカバカバカっ! あたしは別にっ・・・・」
翌日の大都芸能・・・ 「社長!昨日お渡しした映画のビデオ、ちゃんとご覧になられました?」 水城にそう声をかけられ、真澄は言葉を濁していた。
・・・まさか、途中のラブシーンでムラムラしてしまい、マヤを押し倒してエッチをしていたなどとは言えない・・・。
「・・・そうですか。じゃあ、明日までに必ず目を通しておいて下さいませ!!」
ゴニョゴニョと呟いた真澄の言葉を、水城は聞き逃さなかった。 「社長! 今度からラブシーンのある映画は持ち出し禁止に致します! 会社でご覧下さいませ!」 「・・・・・・」 今日こそは誘惑に負けずにちゃんとビデオを見なくては・・・・と反省してたものの、あまり自信のない真澄。
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