うらはらなココロ

真澄とマヤの交際宣言から1年ほど過ぎたある日のこと・・・


「今日も・・・するのかな・・・・」

思わず言葉に出してしまい、マヤは真っ赤な顔で慌てて口元を押さえた。





先日、ついに2人きりで夜を過ごし、心だけではなく体も結ばれたのだった。

ひたすら真澄にしがみついて過ごした最初の夜の行為は、やけに生々しく記憶に残っている。


そして、2回目の夜も、あまり進歩がないまま、真澄の胸の中で彼を受け止めた。


2人で会うことになれば、確実にそういう雰囲気になり、朝を迎えていく日々。


3度目、4度目も真澄に誘われるままに抱かれ、まるで「2人で会う=エッチ」という法則ができつつあった。



自分の体を好きな人が求めてくることは嬉しい・・・。決して行為もイヤではないし。


しかし・・・最近・・・会話が減ってしまったように思うのだ。 まるでエッチの事しか考えていないような真澄の態度。


たまたま、週刊誌で「都合の良い女」という特集を読んでしまってから、妙な不安にとりつかれていた・・・。

『あたしも都合の良い女だったらどうしよう!!!』



・・・本当に好きなら、拒否しても嫌いになるはずがない。

『今日は・・・流されないもん!! 今日はぜったいに、しないもん!!』

マヤは、そう心に決め、真澄の元へと向かった・・・。




・・・いくらなんでも、こう会うたびに体を求めるのは、ちょっとやりすぎではないか・・・

真澄もマヤと同じようにそんなことを考えていた。

もちろん、それは3回目の夜も4回目の夜も考えていたのだが・・・・・体が言うことを聞かず、結局彼女を抱いてしまった。


一度知ってしまったマヤの体・・・。そんなつもりはなくても、愛しさあまりに求めてしまう。

彼女が締め付ける温かい体内は、何物にも変えられないほどの快感であり、普段見ることのできない乱れたマヤの

表情は思い出すだけでもゾクゾクと誘惑の罠を仕掛けてくる。


『うーむ・・・まるで飢えた野獣のように思われるのもなあ。ここはひとつ、大人の余裕というものを見せておかないと

嫌われてしまうかもしれない・・・。これこそ 【愛のかけひき】 というものなのだ!!』



真澄は、今日の夜こそは欲望に流されず、クールな仮面を被ることに決めた。



「お待たせ・・・速水さん!!」

マヤは、いつも通りタクシーで真澄のプライベートマンションへとやってきた。


世間には秘密の2人の関係・・・帰宅時間がバラバラなので、こうしてこの場所で落ち合うことが常となっている。

今日は真澄のほうが帰宅が早かったこともあり、彼はすでにラフなシャツでくつろいでいたのだ。



「・・・待っていたぞ・・・疲れただろう?」

真澄はやさしくマヤを出迎え、ふわりと抱きしめる。


マヤの髪から独特の香りが流れ、真澄の心をくすぐっていく。



『ああ・・・やっぱり今日も・・・したい・・・』

真澄はその思いを無理やり心の中で抑え、マヤに言葉をかけた。

「シャワー・・・入っておいで・・・」


またいつも通りのパターンになりかけ、マヤは心の中がざわめく。

『やっぱり、あたしを抱くことしか考えてない・・・・?』


真澄はサッとマヤの体を解放すると、落ち着いた声で言葉をかけた。

「今日は、映画でも見ないか? 仕事の関係で試写しようとしたビデオがあるんだが、君と見たくて持ち帰ったんだ。」

『え?・・・あ・・・はい・・・」

「途中で眠くなってもすぐに寝れるように・・・早くシャワーを浴びておいで」

真澄に促され、マヤは気が抜けたように浴室へと向かう。


『・・・・映画・・・かあ・・・』

マヤは、あまり嬉しくなさそうに、ぼんやりと考え込んでいた。


・・・真澄はどういうつもりなのだろうか・・・

何となく、今日は誘ってこないような雰囲気があったような・・・


先ほどまでの決意とはうらはらに、少し寂しさを感じている自分に気づき、ハッとするマヤ。

『やだやだ!今日はそういうつもりじゃないって決めたのに!あたし、何考えてんだろ!!』


マヤは、無意識のうちに真澄に抱かれたい気持ちになっていく自分の思考を消すようにシャワーの勢いを強めた。


・・・ふと自分の胸元を見ると、先日抱かれた時に付けられた無数の跡が残っているのに気づく。


「・・・・!!」

ゾクゾクッと体中が熱くなり、真澄の唇のぬくもりを思い出し、それと同時に体の中心が熱く疼(うず)きだしていた。


「あたしっ・・・やだもうっ!・・・すごいエッチだ・・・」

こんな気持ちを真澄が知ったら呆れてしまうかもしれない・・・。






浴室を出ると、マヤはお決まりになった真澄のパジャマの上着を身につけた。

そして・・・少しためらいながら、なるべくいつも通りの表情を作りつつリビングに足を運ぶ。

真澄は部屋を暗くして、ソファーに身を任せてこちらをじっと見ていた。


「・・・ここへおいで」

「あ・・・はい・・・今・・・」

真澄に言われるまま、マヤはソファーへと向かう。


高さのない、黒い革張りのソファー。 ガラスのサイドテーブルには、マヤのためのミネラルウォーターのグラスと、真澄の

ブランデーグラスが2つ並んでいた。


マヤがそっと腰をおろすと、風呂上りの独特の香りと温かい空気がじわりと広がった。

彼女のスラリとした細い足は艶かしく伸ばされ、真澄の視線を奪う。 大きめの男物もパジャマは、マヤの小さな肩から

簡単に外れ落ちてしまいそうなほどにサイズが合っていない。 マヤが少しでも身を屈ませれば、白い上半身が見え隠れ

しそうである。


真澄は喉を鳴らし、危うくマヤの体に手を伸ばしかけていた。

・・・ところが、その動きにビクリと反応したマヤがいたので、真澄は慌ててサイドテーブルの上のリモコンを掴み

ビデオをセットし始めた。



「2時間くらいの映画だ・・・おもしろそうだぞ。」

「・・・うん・・・」

マヤは、真澄が操作しているリモコンをじっと見ながら、複雑な気持ちになっていくのを止められずにいた・・・。

「どうした? 今日はかなり疲れた顔だな・・・。途中で寝てもいいぞ。・・・まあ、君はどんな映画でも途中で寝るなんて

ことはなさそうだけどな。」

「・・・・・」



・・・映画が始まった・・・

いつもなら画面に食い入るように見入ってしまうはずなのに、まるで目に入ってこない。



マヤが気になるのは、隣にいる真澄のことばかり。

彼が息をついたり、軽く身動きする度に息を呑んでしまう。

2人が触れている肩の辺りから、どんどん熱が込み上げてくるのが分かる。 映画にも集中できないほど隣の真澄に

意識してしまう自分が、ものすごくいやらしい存在に思え、必死で忘れようと画面を追う。

『あたし・・・やっぱりヘンだ・・・エッチなことばっかり考えてるんだもん・・・』



真澄の方は、隣のマヤの横顔を時々目で追いながら、開き気味の彼女のサクランボのような唇に目を奪われていた。

キスぐらいなら・・・という思考が頭をよぎるものの、そこでやめる自信がなく、慌てて気持ちを抑える。

・・・それと同時に、どうも様子のおかしいマヤに対しての不安も隠しきれない。


『ヤバイな・・・どうも警戒をしているみたいだ・・・。俺の下心に気づいているのか?』


もともと映画などを見る時、ほとんど会話をする事などないのだが・・・明らかに不自然な空気が充満していた。


お互いがお互いを気にし、もはや映画の内容よりも自分達の思いを抑えるのに必死になっている。


「・・・・・」

「・・・・・」


・・・そのまま一言も口をきかない状態が続き、緊迫したムードがどれくらい続いたであろうか・・・

・・・・・・ゴクリ・・・・・・・

マヤと真澄は、ほぼ同時に息を呑んだ。


なんと、画面の中では、主人公の2人がベットで濃厚に絡み始めたのだ。

『うっ・・・なんでこんなシーンが・・・!!ダメだ・・・たかが映画のベットシーンに洗脳されて妙な妄想をするなど、

大都芸能の速水真澄にあるまじき行為だ!!』

『ちょ・・・ちょっと!!やだ・・・すごい過激・・・』

映画の内容としては、別れを決意した2人が最後の夜と決めて抱き合う、という、感動的なシーンのはずだった。


・・・しかし、今のこの2人には、ふらちな妄想に火をつけるキッカケにしかならなかった。


真澄が耐え切れなくなって画面から顔を背けると、マヤが真っ赤な顔をして同じく顔を背け、2人の視線が絡まった。


いつも映画を見ている時に脇目をふる事など考えられないマヤが何を考えているのか、真澄にもようやく理解できた。

「マヤ・・・・」


真澄は、おもむろにリモコンを掴み、映画の音量だけをオフにすると、マヤの顎をつい、と掴み、唇を合わせた。





BY  YOKO




「んんんっ・・・」

左手でマヤの頭の後ろを押さえ、マヤの口内に舌を入れながら激しく唇を押し付ける。

マヤも、抵抗する気持ちはとっくにどこかに吹っ飛んでいた。

真澄は右手でマヤの着ているパジャマの下から手を差し入れ、素早く左手も後ろに回すと、ブラのホックを一瞬で外した。

そして、更に上の方までパジャマをたくし上げると、真っ白なマヤの乳房があらわにさせた。

「きゃっ」


今までは暗闇に近いほどの明るさで、しかも柔らかなベットの上でしか身を任せたことがなかった。

場所が違うということ、そして部屋こそ暗いもののテレビの画面からチカチカと出てくる明るい光によって

自分の体がリアルに真澄の目にさらされている、という恥ずかしさがマヤの脳内に充満していく。


「明るいよ・・・速水・・・さん・・・」

マヤは体をよじりながら、小さな声で軽く抵抗した。


その声と表情が、ますます彼を刺激させる。

欲望のままにこの場所で押し倒し、いつもよりもはっきりとした視界で見るマヤの裸体。 それだけでも充分に魅力的で

あるというのに、彼女の恥じらいや抵抗する姿は、真澄の征服欲をかきたてて止まらない・・・。


真澄は少し乱暴気味に彼女の乳房を吸い上げていった。

「あんっ・・・」

声を漏らしながら、マヤは無意識にそっと真澄の頭に両手を回し、強く自分の体に押し付けていた。

積極的な彼女の行動に少し驚きながら、真澄はさらに愛撫の力を強めていく。


マヤの感じている声を耳にすると、彼女をもっともっと狂わせたくて夢中になってしまう・・・。 今まで男を知らなかった

彼女が自分の手によって調教され、溺れていく姿は最高に気分を高ぶらせていく。


前回の愛撫の軌跡をなぞるように唇を這わせ、真澄はマヤのショーツを一気に引きずり下ろした。

「やんっ・・・」

マヤの恥らった叫び声も軽く聞き流し、彼女の両足を大きく開かせ、膝を立たせると真澄は じっと彼女の中心部分を

見つめたまま、動きを止めた。

「み・・・見ないでっ・・・」

今更ながらの彼女の言葉が愛しくて仕方がない。


真澄はマヤに覆いかぶさるような格好になり、腕を伸ばして長い指先を彼女の熱くなっている部分へと侵入させた。

「あ・・・・っ・・・んん・・・」

ぬるぬるとした彼女の中は真澄の指を軽々と受け入れ、惜しみなく蜜をこぼしていく。

「いつの間にこんなにエッチになったんだ・・・ん?」

真澄がマヤの耳元でそう囁くと、彼女はカーーーっと顔を赤らめ、横を向いてしまった。


声を出すのが悔しいくらいなのに、自分でも認めてしまうほどに真澄を求めていく。

「だって・・・・は・・・・やみさん・・・が・・・あんんんっ」


真澄は、マヤに言葉を出させないかのように指の動きを強めていく。

「あんっ・・・・あああっ・・」

そして、たっぷりと蜜の絡みついた指を抜き出すと、そこから花びらをなぞるように突起部分へと移動させる。

「やあんんっ・・・んんっ・・・」

待ちかねていたようにマヤは腰をビクンと反応させ、足をダラリと崩した。


真澄は確実にマヤが最も反応する部分を責め続ける。その淫らなマヤの表情は真澄の興奮をさらに高めていく。



体中の力が抜け切ったマヤの体を無理やり起こすと、今度はソファーへと座らせる格好にし、真澄は身につけていた

ズボンとトランクスを脱ぎ捨て、大きくそそり立つ自分自身をマヤの中心へと押し付けた。


そして、マヤの肩をガッチリと押さえ、愛撫の余韻で放心している彼女の中に、一気に自身を埋めこんだ。

「あああっ・・・!!!」

マヤが一際大きな声をあげた。


座らされたマヤのパジャマは上半身を覆い隠し、さらに真澄も上半身はシャツを着ている状態になっている。

お互いにその部分だけを露(あらわ)にし、乱れていくのは、ある意味とても刺激的であった。


まるで辱(はずかし)められているかのようなマヤの姿。 正直、過去にどれくらいこんな状況を思い浮かべながら夜を

過ごしてきただろう。


マヤにとっても、単にやさしく扱うだけとは違う、少し強引な真澄の行為に快感を覚えていった。

あれほどまでに辛く感じた最初の夜が嘘のように思える。 認めるのが恥ずかしいものの、確実に自分の女の部分は

真澄自身を求め、受け入れる悦びを知ってしまったのだ。


どうにも止まらない欲望をマヤの中で突き進め、真澄は絶頂に向かってリズミカルに腰を動かし続ける。

「・・・すごく・・・いい・・・」

真澄が思わずそう呟いた・・・。

その吐息のような真澄の興奮した声に、マヤもまた感じてしまう。

「あんん・・・・ヘンになりそう・・・・あたしっ・・・・」


マヤの強烈な囁きにより、真澄は絶頂へと導かれていった。

「い・・・く・・・・!!」


真澄は低い声でそう告げると、マヤの肩に当てた手の力を強め、同時に最も深く彼女の中で己を突き進め、高まった

思いと共にすべてを開放させた・・・。











「・・・・・おい・・・マヤ・・・?」

繋がったままの状態で、2人は倒れるようにソファーに横になっていた。

「う・・・んん・・・」

マヤは放心状態で虚ろな目をしながら体をダラリとさせたままだった。

真澄は、愛しそうに彼女の髪を撫で、額に数回、軽くキスをする・・・・。


疲労感と共に、充実した満足感が心を満たしていくのが分かる。 やはり、愛しさゆえに体を求め、重なり合うことは

重要なことなのだ・・・と都合よく解釈している自分がそこにいた。


真澄は、マヤの耳元でそっと囁いた。

「・・・お互いに・・・我慢しないで・・・したい時にしたほうがいいかもな・・・」

マヤは、キッと目を見開くと、真澄に突っかかって言い返した。

「速水さんのエッチ!!バカバカバカっ! あたしは別にっ・・・・」


真っ赤な顔で必死になったマヤは、ポカポカと真澄の胸元を叩き、頬を膨らませて顔を背けてしまった。


『でもまあ・・・最初の我慢はいいスパイスになったよな・・・。 まだまだマヤは調教できそうだ・・・フフフ・・・』


そう、まだまだマヤの知らない「あんなこと」や「こんなこと」も試してみたい・・・・。



真澄の脳内はそんな事でいっぱいになっていて、もはや止められそうになかった。









翌日の大都芸能・・・

「社長!昨日お渡しした映画のビデオ、ちゃんとご覧になられました?」

水城にそう声をかけられ、真澄は言葉を濁していた。


「ん・・・・ああ・・・あれは・・・半分ほどみたのだが・・・」

・・・まさか、途中のラブシーンでムラムラしてしまい、マヤを押し倒してエッチをしていたなどとは言えない・・・。


「あら社長!昨日はずいぶん早く仕事も終えられましたし、映画好きなマヤちゃんと必ず見るって約束でしたのに!」


「ああ・・・すまない・・・。疲れていて早寝してしまったんだ。」


・・・水城は、その割に真澄の目が充血気味であくびばかりしている事に疑問を抱いていた。

「・・・そうですか。じゃあ、明日までに必ず目を通しておいて下さいませ!!」


呆れたように言い放った水城をチラリと見た真澄は、ふと今日もマヤと会う約束をしていることを思い出す・・・。


「今日の夜も・・・映画は無理かも・・・しれんな・・・・」

ゴニョゴニョと呟いた真澄の言葉を、水城は聞き逃さなかった。

「社長! 今度からラブシーンのある映画は持ち出し禁止に致します! 会社でご覧下さいませ!」

「・・・・・・」

今日こそは誘惑に負けずにちゃんとビデオを見なくては・・・・と反省してたものの、あまり自信のない真澄。


彼は、その日は一日中、水城に頭があがらなかったらしい。



 

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