表にある「ずっと二人で・・・」の、おまけのような話です(笑)
「愛している・・・マヤ」 頭の隅々にまで響き渡る、愛しい声。
――どうしてだろう――
気遣うように彼がそう囁いたので、マヤは静かに首を振る。
彼は僅かに体を起こし、二人は見つめあう形になった。
時には吸い付くように強く、そして時には軽く触れるだけの愛撫が始まる。 手を繋がれているのでどうすることもできず、マヤはビクンビクンと体を震わせ続ける。 時折、彼の髪が思わぬ場所を刺激し、それが不思議な快感を呼び起こす。
口を閉じながら押し殺したような声を出してしまう。 繋がっている手のひらの指先一本一本が擦れあうだけでも異常なほどに興奮している自分がいる。
耳元で彼が囁く。 それでも彼は、わざと感じやすいと知っている耳たぶを甘噛みしてきた。
マヤは自分で出した声に驚きを隠せない。
そして彼は表情を確認するような仕草をした後、絡めていた手を静かに解放し、そのままマヤの浴衣の帯へと 伸ばしていく。 ――あっ・・・――
気が遠くなりそうだ。
そう言われた言葉が脳裏に浮んだけれど、今のマヤにはとても無理であった。 気まずそうに横を向き、自分の 心臓の音を感じることしかできない・・・。
「・・・・・・・!」 マヤは咄嗟に両手で襟元を押さえていた。
何気なく視線が絡み、彼の手が優しく襟元に近づくとマヤの手を握り締めた。
そう言われ、マヤはハッとして掴んでいた襟元の力を弱める。 そしてそのタイミングを見計らったように 緩んだ浴衣の襟元は彼の両手で乱暴に開かれる。
すぐに下着は大きく捲られ、すでに彼の目の前にはマヤの乳房がさらけ出されていた。
好きな相手に裸体を見られるという事が、これほど恥ずかしいことだとは思わなかった。 体中の血液が沸騰して いるのではないかと思う。
向ける。
先ほどのような鋭い目つきで、今は投げ出された体の隅々まで見られているという事実がたまらなく恥ずかしい。
思わず声を出してしまった。 彼が、湿り気のある唇で胸の頂上を吸い上げ、舌を転がしていた。 そして、反対側の胸は、彼の大きな手のひ らで包み込まれ、激しく押し上げられている。 体中に鳥肌が立った。 どうしてなのかは分からない。
こんな声がどこから出ているのかも自分でも分からなかった。
・・・体に力が入らない。 まるで熱を出して寝込んでいるかのようにぐったりとしていると、彼に体を浮かされ、浴衣と下着をあっさりと剥ぎ 取られてしまった。
これも時間の問題で脱がされてしまうのかと想像し、マヤはヒヤリと息を呑む。
マヤは、消えそうな声でボソリと呟いた。 充分に暗いはずの部屋であるが、目が慣れてしまい、かなりハッキリ とお互いの存在が見えるようになっていた。
真澄は長い腕を伸ばし、軽くランプにタッチをすると、一段階、光が暗くなった。 それでも、やはりマヤには明るく感じてしまう。
戸惑うマヤであったが、今度は彼が自らの浴衣の帯を解き始めている事に気がつき、目を泳がす。
目のやり場に困ってしまう。 今更どうにもならないはずなのに。 それでも、心のどこかに彼を待ち焦がれている部分があるのは確かかもしれない。 逃げ出したいとは思わなかった。
広い肩幅・・・。 普段はスーツに隠されている、大人の男の体。 それは、余りにも衝撃的で、マヤは怯んでしまいそうになる。 今からこの体に抱かれるのだ、と想像し、視線を合わせるのが恥ずかしくて目を逸らす。
好きだから見られたくない気持ちと、すべてを知ってもらいたい複雑な気持ちが揺らいでいる。 自分でも理解不能だと思う。
――熱い―― 重みのある体が、吸い付くようにしてマヤの肌に合わさっていた。 小さなマヤの体は彼の大きさにすべて隠れてしまっているほどに・・・。
彼の心臓の音が肌を通して聞こえてくるのが分かる。
に自分の背中へと手を回し、撫でるような動きをさせる。
強張らせる。
背中を撫で回しながらマヤの白い肩や腕などにキスを与える真澄。 柔らかい唇の感触が細胞から伝えられる。彼の力強い指先が不規則に肌の上を移動し、興奮を覚える。
抵抗する隙もない間に、スルリと引き下ろされてしまった。
力を入れて両足を閉じさせているつもりだったのに、軽々と片足を掴み上げられた。 太ももの内側に彼の手が 伸びている。
マヤは思わず小さく叫んでいたが、真澄はまるで聞く耳を持たないといった感じで、その太ももへと唇を這わせて いく。
そんなところにキスをされるとは予想もつかず、マヤは自由になっている片足に力を込め、体をよじる。 ところが、すでに彼の体はマヤの両足を割るようにして進入していて、今度は反対側の太ももにも同様の行為が なされる。
いくら照明が薄暗くされていても、自分のそんな場所に彼の顔が接近しているという事実だけでも火が出そうな 思いがする。 時折、彼の髪が足の付け根にかかり、マヤはもう限界に近いような恥ずかしさを抱える。
突然、マヤは跳ねるように体を大きくビクつかせた。 いきなり、誰にも見られた事のない部分に刺激を感じたのだ。 その正体が何なのか、すぐに分かった。 ピチャピチャと舐め回す音が闇に響いている。 割れ目に沿うようにして 彼の唇と舌が進入を始めていたのだ。
もう、恥ずかしさというより、訳のわからない感覚に体が支配されていくのが怖くなっていた。
マヤは、”手を止めて”という意味でそう言葉を出す。 ところが、彼は止めるどころか、今度は指先でいたぶり始める。 彼が舌先で濡らした部分を指が這い、滑らかに行き来を繰り返す。
真澄が冷ややかにそう言った言葉の意味は、理解するのに少し時間がかかってしまった。
を感じた。
彼の指先が少しずつ入り込んできているのだ。 痛いというより、怖いような感覚が広がる。 こんなことをされて大丈夫なのかと心配になる。
まるで心を見透かしたかのような彼の言葉。 彼を信じてマヤはギュッとシーツを握り締める。 彼の指が、そんな所に触れたりしている行為が冷静に頭の中に浮かび上がると、これが本当に愛の行為なのか と疑問に思う。 初めての自分には、よく分からない・・・。
押し込められる指の本数が増やされているようだ。
マヤが体を強くよじらせたので、彼にもそれが伝わったのであろう・・・
と心配そうに声をかけられる。 「ん・・・・・・」
それでも、彼は指の動きを止めることはなく、更に奥深くを目指して刺激してくる。
指で遊ばれたまま、舌先でまた なぶられているのが分かる。 彼の唾液のせいなのか、いじられている辺りが ぬるぬると湿り気を帯びていく。 ――こんなヘンな気持ち、ワカラナイ――
しかし、真澄が体勢を変え、今までよりも更に足を押し広げられたので、マヤは息を呑んだ。
細胞が壊れるような、強い痛みが走る。
彼はマヤの手を取ると、思い切り強く握り締めた。
それだけ言うと、彼はますます深く入り込んでくる。 マヤは、繋いでいる彼の指が折れてしまうのではないかと思うほど強く握り返した。
「もうしばらく我慢してくれ」 彼の言葉に、弱々しく頷くしかできない。
彼が腰を進め始めると、マヤは顔をしかめながら息を吐き出した。 彼が入り込んできた時よりも更に激しい痛みが続く。
マヤが消えそうな声でそう言葉を出すと、真澄は大きな息を吐き出しながら、動きを止めた。
そう告げながら、おもむろに乳房に顔を埋めこまれる。
・・・辛いのは自分だけではないのかもしれない。 本能的にそう思った・・・。
「ん・・・・」 小さな返事も見逃さずに聞いた彼は、再び体を大きく揺らし、マヤの奥まで突き進める。
どこまで彼が入り込んでくるのか・・・・怖くなるほどにその行為が続けられる。 2人はじっとりと汗ばみ、重ねた肌から互いにそれを感じあう。
のに気付く。 顔を僅かに歪め、絶頂に向けて夢中で自分を求めている彼の姿。 目の前の彼の顔は、自分だけを見つめている。 その、初めて見る彼の少し乱れた表情に体が反応し、彼を求めるのが分かる。 マヤは今、たまらない愛しさをそこに感じ、ふっと足の力が抜けるような気がした。
「くっ・・・・」
彼に顔を覗き込まれる。
自分でも何を言おうとして呼びかけたのかよく分からない。 ただなんとなく・・・彼の声が聞きたくて呼んでしまったのかもしれない。
「何か隠し事か?」 「ち、違うの・・・。ほんとになんでもなくて・・・」 そう言いかけたマヤは、考え直して言葉を出した。
「そうか・・・」 彼は、マヤを引き寄せるようにして抱きしめた。
彼の事がずっと遠い存在に感じていたのが嘘のようだ・・・。 今、彼はこんなに近くにいて自分を抱きしめてくれている・・・。
・・・突然、マヤのお腹の音が闇に広がった。
「・・・・・・」
「だ、だってだって・・・・夜ご飯、食べてないんだもんっ!」
ふいに真澄は真顔になり、心配そうに声をかける。
そう言ったにも関らず、真澄は心配そうに顔を覗きこむ。
「えっ?そ、そんなのいいの・・・ほんとに気にしないで・・・」 マヤがしがみ付くようにすると、彼は起き上がろうとしていた体を元に戻して息をついた。
「いいの・・・」 ――眠れなかったら・・・朝まで速水さんの顔を見てるから――
だな。ブラックリストにも追加されそうだ・・・」 「もうっ!!」 せっかく素直な気持ちで彼を想っていたのに。 どうしてこの人はこうなんだろう、と思う。
「・・・どっちでもいいです・・・・」
こんな考え方ができるようになるなんて思わなかった。
彼の言葉に、ハッとする。 そうだ・・・明日の今頃にはもう東京に戻っていて、別々の場所で時間を過ごしているのだろうから。
マヤは急に忘れていた寂しさに襲われ、彼の胸に額を押し付けるようにしていた。
真澄は首を捻りながらも、力強くマヤを抱き寄せる。
まるでマヤの思考を読み取ったかのように彼が呟く。
こういう安心感が欲しくて、人は肌を合わせるのかもしれない。 今まで知らなかったことが、また一つ分かった。
忙しくてなかなか会えなくても、心が隣なら寂しくない。 彼を想うとき、彼も自分を想っていてくれたら・・・・ずっと二人は一緒にいられるんだから。
おわり ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× あとがき
すれすれのところでハッピーエンドで「以上ですっ!」と終わらせるハズでしたが、こんなオマケを書いてしまいま した(笑) もう、超大急ぎで書いたので、ホントにグリコのオマケ程度(いや、それ以下かも)の走り書きでスミマ セン・・・。 やっぱりラブラブな話は苦手!(読むのは大好きなんだけど) お粗末で失礼致しました!
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