表にある「ずっと二人で・・・」の、おまけのような話です(笑)


ずっと二人で・・・ 7



マヤが強く握り締めた手を、真澄が更に強く握り返す。

「愛している・・・マヤ」

頭の隅々にまで響き渡る、愛しい声。




マヤは無意識に体が震え始めた事に気付く。

――どうしてだろう――



「やっぱり怖いんじゃないのか・・・?」

気遣うように彼がそう囁いたので、マヤは静かに首を振る。


「少し寒いのかもしれない・・・。速水さんが温めて・・・」


「ああ・・・分かった」

彼は僅かに体を起こし、二人は見つめあう形になった。




熱い視線が解かれるとマヤの首筋に彼の唇が移動した。

時には吸い付くように強く、そして時には軽く触れるだけの愛撫が始まる。

手を繋がれているのでどうすることもできず、マヤはビクンビクンと体を震わせ続ける。

時折、彼の髪が思わぬ場所を刺激し、それが不思議な快感を呼び起こす。


「んっんっ・・・」

口を閉じながら押し殺したような声を出してしまう。

繋がっている手のひらの指先一本一本が擦れあうだけでも異常なほどに興奮している自分がいる。


「これぐらいでそんなに感じていたら最後までもたないぞ・・・」

耳元で彼が囁く。 それでも彼は、わざと感じやすいと知っている耳たぶを甘噛みしてきた。


「あぁん・・・」

マヤは自分で出した声に驚きを隠せない。




唇にそっと触れるだけのキスをされた。

そして彼は表情を確認するような仕草をした後、絡めていた手を静かに解放し、そのままマヤの浴衣の帯へと

伸ばしていく。

――あっ・・・――


・・・呼吸の仕方が分からなくなりそうだ。緊張感なのか、恐怖感なのか・・・・



スルスルと紐が解かれる音がマヤの耳にやけに大きく伝わってくる。


―ドクン、ドクン、ドクン――


もうすぐ、自分のすべてが彼の目の前に晒されてしまう。 覚悟を決めたはずでいても、それはとても恥ずかしく、

気が遠くなりそうだ。




――”俺から視線を外すな”――

そう言われた言葉が脳裏に浮んだけれど、今のマヤにはとても無理であった。 気まずそうに横を向き、自分の

心臓の音を感じることしかできない・・・。




パサリと音が聞こえた。



とうとう紐が解かれ、それが付近に投げられた音のようだ。

「・・・・・・・!」

マヤは咄嗟に両手で襟元を押さえていた。


――あ――

何気なく視線が絡み、彼の手が優しく襟元に近づくとマヤの手を握り締めた。


「そんな顔をしないでくれ」

そう言われ、マヤはハッとして掴んでいた襟元の力を弱める。 そしてそのタイミングを見計らったように

緩んだ浴衣の襟元は彼の両手で乱暴に開かれる。


――ああっ――


息を呑んでいると、すぐにマヤの背中には手が回され、下着のホックも外された。

すぐに下着は大きく捲られ、すでに彼の目の前にはマヤの乳房がさらけ出されていた。


――恥ずかしい・・・――






彼の目を見ることなどできなかった。

好きな相手に裸体を見られるという事が、これほど恥ずかしいことだとは思わなかった。 体中の血液が沸騰して

いるのではないかと思う。 


しかし、彼は何を言う訳でもなく、しばし身動きをしない状態でいたので、ふいに不安を感じたマヤはそっと視線を

向ける。




マヤの視線にも気付かず、我を忘れたように、食い入るような視線を体に向けている真澄がいる。

先ほどのような鋭い目つきで、今は投げ出された体の隅々まで見られているという事実がたまらなく恥ずかしい。



彼は言葉を失ったように、そのまま露(あらわ)になっているマヤの胸のふくらみへと顔を近づけた。


「あっ・・・ん」

思わず声を出してしまった。

彼が、湿り気のある唇で胸の頂上を吸い上げ、舌を転がしていた。 そして、反対側の胸は、彼の大きな手のひ

らで包み込まれ、激しく押し上げられている。

体中に鳥肌が立った。 どうしてなのかは分からない。


「はぁ・・・んんっ」

こんな声がどこから出ているのかも自分でも分からなかった。


やがて、彼の両手はウエストのラインをなぞり、マッサージをするように丁寧に滑り降りていく。

・・・体に力が入らない。

まるで熱を出して寝込んでいるかのようにぐったりとしていると、彼に体を浮かされ、浴衣と下着をあっさりと剥ぎ

取られてしまった。 


すでにマヤが体に着けているのは、小さなショーツだけ・・・。

これも時間の問題で脱がされてしまうのかと想像し、マヤはヒヤリと息を呑む。




「あの・・・ランプの光・・・・もう少し落として欲しいの・・・」

マヤは、消えそうな声でボソリと呟いた。 充分に暗いはずの部屋であるが、目が慣れてしまい、かなりハッキリ

とお互いの存在が見えるようになっていた。


「分かった・・・」

真澄は長い腕を伸ばし、軽くランプにタッチをすると、一段階、光が暗くなった。

それでも、やはりマヤには明るく感じてしまう。


「あの・・・もう少し・・・」


「これ以上は駄目だ」


マヤの言葉を彼が遮る。


――だって・・・――

戸惑うマヤであったが、今度は彼が自らの浴衣の帯を解き始めている事に気がつき、目を泳がす。


――ドクン、ドクン・・・――

目のやり場に困ってしまう。 今更どうにもならないはずなのに。

それでも、心のどこかに彼を待ち焦がれている部分があるのは確かかもしれない。

逃げ出したいとは思わなかった。




あっと言う間に、彼が浴衣を脱ぎ捨てていた。


見ないようにしていたはずが、思わず視線を動かしてしまう。


暗くなったはずの部屋でも、すぐ近くで上半身をむき出しにした彼の体は焼きつくほど目に入り込む。

広い肩幅・・・。

普段はスーツに隠されている、大人の男の体。 

それは、余りにも衝撃的で、マヤは怯んでしまいそうになる。

今からこの体に抱かれるのだ、と想像し、視線を合わせるのが恥ずかしくて目を逸らす。








・・・彼が自分に触れる瞬間を想像したことは何度かあった。


とても恥ずかしくて彼には言えないけれど・・・いつかそんな日が来たら・・・と、頭の中で考えたことがあった。


けれど・・・実際に彼に与えられる行為は、予想以上にマヤの体に快感を与えていた。

好きだから見られたくない気持ちと、すべてを知ってもらいたい複雑な気持ちが揺らいでいる。

自分でも理解不能だと思う。



すぐに、熱を持った彼の体がピッタリと自分の体に重なるのを感じ、マヤは小さく息を呑む。

――熱い――

重みのある体が、吸い付くようにしてマヤの肌に合わさっていた。

小さなマヤの体は彼の大きさにすべて隠れてしまっているほどに・・・。


服を着たままで抱き合うよりも数倍、お互いの存在を強く感じるとマヤは思った。


――速水さんもドキドキしている――

彼の心臓の音が肌を通して聞こえてくるのが分かる。




マヤは何をどうすればよいのか分からず、泳がせていた手を軽く彼の背中へと移動させた。 すると彼も同じよう

に自分の背中へと手を回し、撫でるような動きをさせる。


テレビや映画の世界でこんなシーンを見たことがあるけれど、自分にもこんな日が訪れるなんて・・・。


ぼんやりとそんな事を頭の片隅で考えていると、彼の手がゆっくりと下の方に移動していくのを感じ、マヤは体を

強張らせる。



「んっ・・・」

背中を撫で回しながらマヤの白い肩や腕などにキスを与える真澄。

柔らかい唇の感触が細胞から伝えられる。彼の力強い指先が不規則に肌の上を移動し、興奮を覚える。



マヤは、おかしくなりそうな気持ちを抑えるように、そっと目を閉じた。









やがてマヤの上半身に余すところなく彼の唇が触れ、力が抜けたようになった頃、彼の手はショーツに伸び、

抵抗する隙もない間に、スルリと引き下ろされてしまった。


「あっ・・」

力を入れて両足を閉じさせているつもりだったのに、軽々と片足を掴み上げられた。 太ももの内側に彼の手が

伸びている。


「ま、待って!」

マヤは思わず小さく叫んでいたが、真澄はまるで聞く耳を持たないといった感じで、その太ももへと唇を這わせて

いく。


「やぁんんっ・・・」

そんなところにキスをされるとは予想もつかず、マヤは自由になっている片足に力を込め、体をよじる。

ところが、すでに彼の体はマヤの両足を割るようにして進入していて、今度は反対側の太ももにも同様の行為が

なされる。


「・・・んんっ・・・」

いくら照明が薄暗くされていても、自分のそんな場所に彼の顔が接近しているという事実だけでも火が出そうな

思いがする。 時折、彼の髪が足の付け根にかかり、マヤはもう限界に近いような恥ずかしさを抱える。




「あああんんっ!」

突然、マヤは跳ねるように体を大きくビクつかせた。

いきなり、誰にも見られた事のない部分に刺激を感じたのだ。

その正体が何なのか、すぐに分かった。 ピチャピチャと舐め回す音が闇に響いている。 割れ目に沿うようにして

彼の唇と舌が進入を始めていたのだ。


「んんっ・・・あんんんっ」

もう、恥ずかしさというより、訳のわからない感覚に体が支配されていくのが怖くなっていた。


「お願い・・・・」

マヤは、”手を止めて”という意味でそう言葉を出す。

ところが、彼は止めるどころか、今度は指先でいたぶり始める。

彼が舌先で濡らした部分を指が這い、滑らかに行き来を繰り返す。


「こんな時に”お願い”なんて言葉を出すのは、俺を挑発しているとしか思えない・・・・」

真澄が冷ややかにそう言った言葉の意味は、理解するのに少し時間がかかってしまった。


マヤは、なるべく声を押し込み、体を引き気味にしていると、今度は自分の中心部に、埋め込まれるような異物感

を感じた。


「んっ・・・・」

彼の指先が少しずつ入り込んできているのだ。

痛いというより、怖いような感覚が広がる。 こんなことをされて大丈夫なのかと心配になる。


「力を抜いていてくれ・・・」

まるで心を見透かしたかのような彼の言葉。 彼を信じてマヤはギュッとシーツを握り締める。

彼の指が、そんな所に触れたりしている行為が冷静に頭の中に浮かび上がると、これが本当に愛の行為なのか

と疑問に思う。 初めての自分には、よく分からない・・・。


しかし、そんなことを薄っすらと考えているうちに、軽い痛みに襲われ始めていた。


――んっ―― 

押し込められる指の本数が増やされているようだ。


――痛いっ――

マヤが体を強くよじらせたので、彼にもそれが伝わったのであろう・・・


「痛いか・・・・」

と心配そうに声をかけられる。

「ん・・・・・・」



正直、これ以上の事が起こったら、自分がどうなってしまうのか怖くてたまらない。

それでも、彼は指の動きを止めることはなく、更に奥深くを目指して刺激してくる。


「あぁっ・・・」

指で遊ばれたまま、舌先でまた なぶられているのが分かる。 彼の唾液のせいなのか、いじられている辺りが

ぬるぬると湿り気を帯びていく。

――こんなヘンな気持ち、ワカラナイ――




ようやく指が引き抜かれたようだった。

しかし、真澄が体勢を変え、今までよりも更に足を押し広げられたので、マヤは息を呑んだ。


――速水さん――


「・・・入れるから。少し我慢してくれ」


――あっ・・・――


先ほどまでくちゅくちゅと指で遊ばれていた部分に、熱くそそり立つ彼自身が当てられているのが分かる。


「んんんっ!」

細胞が壊れるような、強い痛みが走る。


「痛っ・・・・い・・・」

彼はマヤの手を取ると、思い切り強く握り締めた。


「すまない・・・」

それだけ言うと、彼はますます深く入り込んでくる。

マヤは、繋いでいる彼の指が折れてしまうのではないかと思うほど強く握り返した。


痛みを堪えながら息を荒くしていると、目の前の彼と視線がぶつかる。

「もうしばらく我慢してくれ」

彼の言葉に、弱々しく頷くしかできない。


「んっんっ・・・っ・・・」

彼が腰を進め始めると、マヤは顔をしかめながら息を吐き出した。

彼が入り込んできた時よりも更に激しい痛みが続く。


それでも、動きは弱まるどころか加速していき、マヤは首を左右に振りながら意思表示をする。


「も・・・う・・・痛くて・・・ダメ・・・」

マヤが消えそうな声でそう言葉を出すと、真澄は大きな息を吐き出しながら、動きを止めた。


「俺はもう・・・止めるのが無理かもしれん」

そう告げながら、おもむろに乳房に顔を埋めこまれる。


――ああ・・・またあたしが困らせている――

・・・辛いのは自分だけではないのかもしれない。 

本能的にそう思った・・・。


マヤは、強く繋いでいる手のひらに力を込めた。 


「・・・我慢できるか?」

「ん・・・・」

小さな返事も見逃さずに聞いた彼は、再び体を大きく揺らし、マヤの奥まで突き進める。


「あんんっ・・・んんっ」

どこまで彼が入り込んでくるのか・・・・怖くなるほどにその行為が続けられる。

2人はじっとりと汗ばみ、重ねた肌から互いにそれを感じあう。



そして、痛みは僅かずつではあるが薄れ始め、マヤの知らない、意識とは別の場所が受け入れ始めている

のに気付く。

顔を僅かに歪め、絶頂に向けて夢中で自分を求めている彼の姿。

目の前の彼の顔は、自分だけを見つめている。

その、初めて見る彼の少し乱れた表情に体が反応し、彼を求めるのが分かる。

マヤは今、たまらない愛しさをそこに感じ、ふっと足の力が抜けるような気がした。



・・・真澄が最も力を込めて手を握り締める。



「んっ・・・・うんんっ・・」

「くっ・・・・」



闇に小さなうめき声が響いた後、真澄はマヤにかぶさるように倒れこんだ。







「速水さん・・・」


一通りの愛の行為を終え、彼に腕枕をされながら、ふいにマヤがそう呼びかける。


「うん・・・?」

彼に顔を覗き込まれる。


――えっと――

自分でも何を言おうとして呼びかけたのかよく分からない。 

ただなんとなく・・・彼の声が聞きたくて呼んでしまったのかもしれない。


「・・・なんでもない・・・」



その言葉に、真澄が小さな溜息をつく。

「何か隠し事か?」

「ち、違うの・・・。ほんとになんでもなくて・・・」

そう言いかけたマヤは、考え直して言葉を出した。


「あのね・・・ちょっと声が聞きたくて」

「そうか・・・」

彼は、マヤを引き寄せるようにして抱きしめた。


つい先ほど気持ちを思いきり言葉にしたけれど、こうして体を重ねた事により、更に素直になれたように思う。

彼の事がずっと遠い存在に感じていたのが嘘のようだ・・・。

今、彼はこんなに近くにいて自分を抱きしめてくれている・・・。







〜ぐーきゅるきゅるきゅる〜

・・・突然、マヤのお腹の音が闇に広がった。



「・・・・・」

「・・・・・・」


――ええっ!うそっ――


そう思った瞬間、隣の真澄はもう笑っていた。


――最悪っ・・・あたしのバカっ――



「クックッ・・・そんなに腹が減るほど体力を消耗したのか・・・?」

「だ、だってだって・・・・夜ご飯、食べてないんだもんっ!」


「そうなのか・・・? ・・・さすがにこの時間じゃルームサービスも終わっているな・・・」

ふいに真澄は真顔になり、心配そうに声をかける。



「い、いいの・・・もう寝ちゃえば平気・・・」

そう言ったにも関らず、真澄は心配そうに顔を覗きこむ。


「何か買ってこようか・・・?」

「えっ?そ、そんなのいいの・・・ほんとに気にしないで・・・」

マヤがしがみ付くようにすると、彼は起き上がろうとしていた体を元に戻して息をついた。


「眠れなくても知らないぞ」

「いいの・・・」

――眠れなかったら・・・朝まで速水さんの顔を見てるから――



「朝食は洋食のビィッフェにするか? ああ・・・でも出してある料理を全部食べ尽くしたら、ホテルを追い出されそう

だな。ブラックリストにも追加されそうだ・・・」

「もうっ!!」

せっかく素直な気持ちで彼を想っていたのに。 どうしてこの人はこうなんだろう、と思う。


「朝一でルームサービスを頼んでもいいな・・・」

「・・・どっちでもいいです・・・・」


むくれた顔をしていたものの、マヤは彼の不器用な言葉の裏に隠れている優しさを感じ取った。

こんな考え方ができるようになるなんて思わなかった。



「もう休もう。早起きしないと時間が足りないぞ」

彼の言葉に、ハッとする。

そうだ・・・明日の今頃にはもう東京に戻っていて、別々の場所で時間を過ごしているのだろうから。


「・・・ん・・・」

マヤは急に忘れていた寂しさに襲われ、彼の胸に額を押し付けるようにしていた。


「マヤ・・・?」

真澄は首を捻りながらも、力強くマヤを抱き寄せる。


「ずっと一緒だと言っただろう・・・」

まるでマヤの思考を読み取ったかのように彼が呟く。


「うん・・・・」


「俺の心は、ずっとマヤと一緒だ・・・」


その言葉に・・・マヤは幸せを注ぎ込まれたように感じていく。


――ずっと一緒――


・・・心が寄り添っているような気がした。

こういう安心感が欲しくて、人は肌を合わせるのかもしれない。

今まで知らなかったことが、また一つ分かった。


忙しくてなかなか会えなくても、心が隣なら寂しくない。

彼を想うとき、彼も自分を想っていてくれたら・・・・ずっと二人は一緒にいられるんだから。



「あたしも・・・あたしの心も速水さんの隣がいい」


マヤは真澄の顔をじっと見つめながら、そう呟いた。







おわり



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あとがき


「ずっと二人で・・・」を最初から読んでくださった方、本当にありがとうございました♪ 予定では、地下にならない

すれすれのところでハッピーエンドで「以上ですっ!」と終わらせるハズでしたが、こんなオマケを書いてしまいま

した(笑) もう、超大急ぎで書いたので、ホントにグリコのオマケ程度(いや、それ以下かも)の走り書きでスミマ

セン・・・。 やっぱりラブラブな話は苦手!(読むのは大好きなんだけど) お粗末で失礼致しました!


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