JUST SHAKE! 4








店内が元の明るさに戻ると同時に、真澄は狩人バーグにグサリとナイフを突き刺した。


(桜小路めっッッッ…真剣(マジ)で俺を本気で怒らせやがったなッ…)




「ねえ、どうしたの?真澄さん?なんか怒ってる?」

真澄の心の荒れ具合にも気付かず、呑気に声を掛けるマヤ。

真澄はコホンと咳払いをし、笑顔を取り繕うことにした。


「いや、なんでもないさ…。ちょっと彼の多才っぷりに感動していたんだ…。ハハハ…」


「あら、そうなんだ?あたし、アツアツのグラタンを食べるのに必死であんまり歌の意味も分からな

かったんだけど、そんなによかったの?」


(!!!!)

真澄はマヤの言葉に思わずニヤリとしそうになり、口元を手で覆った。


「ああ…どうやら、ほら…あそこに座っている彼女に捧げるラブソングだったようだぞ…」


マヤは真澄の視線の先に舞の姿を見つけ、目を大きくする。

「まあ、そうだったの…」


真澄はマヤの天然ボケに感謝しつつ、すっかり冷え切ってしまった料理をどうにか喉に通すこと

にした。特に美味しくもない、しいていえば呑気な味のするハンバーグは、冷えたことによって更に

どうでもいい味になっていた。おまけに気分の悪くなるようなショータイムのせいで食欲は減退どこ

ろか吐き気まで沸き起こっている。 


早く帰りたい…。

しかし、その為にはサッサと食事を終えるしかないであろう。

真澄は無言で口を動かす。


「ねえ、あたしデザート頼んでもいい?」

マヤはすでにグラタンもサラダも食べきっており、少し遠慮がちにそう呟いた。


「ああ、好きなだけ頼みなさい…」

真澄は彼女の食べっぷりは慣れっこなので、特に驚くこともなく言葉を返す。


「わあい♪…メニュー♪メニュー♪…あった、デザートメニューは…これね…。うーん、困ったなあ。

全部おいしそうだなあ〜迷っちゃう…」


マヤがメニュー表とにらめっこしながら悩む姿は、これまた非常に可愛らしい。


「よ〜し♪決めたァ〜!!…えっと、ボタンで呼び出すのよねっ。    …あ、桜小路くんだっ!

ちょうど良かったわ〜桜小路くんっ!!」


(なにっ!?!?!?)


マヤがサッと手を挙げたのであわてて振り向いた真澄は、彼がカツカツと革靴を鳴らし、コチラに

向かって歩いてくる姿を見つけた。




「マヤちゃん……と、
速水…さん、あの…料理と…ボクのショーはいかがでした?」


桜小路の言葉に、マヤは慌てて言葉を並べ立てる。

「え、えーーっと、お料理もすごく美味しいし、歌も…ス、ステキだったわ!ね、真澄さんっ?」

どうやらマヤは本当にまともにステージを見ていなかったらしい。

真澄は素早く彼女のフォローをすべく口を開く。


「…いやあ〜君は素晴しいよ…。芸能界に残っていれば演劇だけじゃなく、歌手としてでも成功して

いたかもしれないな。まったく…実に惜しい…!しかし、それ以上に料理もなかなかだ。これからは

レストラン業界で頑張りたまえ…」


肩をすくませ、ナプキンで口を拭う真澄。

昔から うわべだけの褒め言葉は得意中の得意なのだ。


「…ありがとうございます。…マヤちゃん、今度は ”イジワル小悪魔の気まぐれグラタン” も食べ

てみてね! イカ墨を使ってほんのり黒いんだ♪ …でも、マヤちゃんのイメージだと小悪魔よりも

断然、天使だけどね…!あははっ☆」


桜小路がマヤにスマイルを発散していると、彼の発言に聞き耳を立てていたと思われる舞がこちら

をギロリと睨み、真澄は凍りついた。


(桜小路め…なんという男だろう!あれほど一途に想いを寄せてくれる彼女がいるのなら、さっさと

妥協しろってんだ!)


…もはや自分の婚約解消などすっかり棚の上である。


「うん、それもおいしそうだね。このお店近いし、今度はランチも来るわ…」


「…ありがとう…待ってるよ。 僕…。いつまでも… 待ってるから… 」


桜小路の切ない眼差しは真澄をピキピキと怒りに導いていった。


(永遠に孤独を抱えて待ってろ!いつまで待ってもお前の出番はないけどな!!)



「あ、マヤちゃん…もしかしてデザート頼むの?ボクがサービスするよ♪」

桜小路はマヤがメニューを手にしているのに気付き声をかけた。


「え、ほんと?あたし、この ”恋する二人の巨峰ソフト” がいいなあって…」


「…思い出のメニューからだね…ありがとう…」



(なんっ!!!!!!!!!!)


真澄はテーブルの下で思わず拳を握り締めた。

先ほどから自分を無視してマヤと二人のワールドを作り上げようとしている桜小路には怒りも限界

だ。


(悔しい…非常に悔しい!…しかし、ここで余裕の顔をするのが大人なんだ!耐えろ!真澄!)

こうなったら、とことん対抗してやるのが筋というものである。

真澄は意を決した。


「…ほう、それはありがたい。では、俺もコーヒーを…と、思ったが、マヤと同じものを頂くとするよ…」


「えっ??」


「…ええっ?」


真澄の言葉に驚きの表情を隠せない二人がいた。


「え?真澄さん、ソフトクリームよ!?」


「フッ…いいんだ…何しろ、”恋する二人の…” だからな…こういうのはペアで食べるものだ…」


もはやネーミングの恥ずかしさなどどうでもよくなっていた。そんな事よりも、ありったけのラブラブ

ぶりを出来るだけ多く見せ付けることのほうが重要なのだ。


「そういうワケだ。よろしく頼むぞ、君」


「…はい…分かりました。少々お待ちください…」

桜小路は悔しそうに唇を噛み締め、真澄に顔を合わせないようにしてその場を去る。




「ねえ、本当にソフトクリーム…食べるつもり?」

「ああ…もちろんさ…」


真澄はタバコを口に咥えながら余裕の表情をする。

まあ、人間やって出来ないことはないであろう。

実際には先ほどのハンバーグのせいで胃は悲鳴を上げていたのだが、ここで引き下がるわけには

いかない…。

そう、どんな手を使ってでもアイツの思い出をブチ壊すのだ!!その為には胃の一つや二つ、犠牲

になっても仕方あるまい。


「でも、嬉しいなあ〜♪真澄さんと二人でソフトクリームなんて!!お義父さんが聞いたらきっと

びっくりするわね…」


(……うっ……)

「よ、余計な事は言わなくていいさ…」


「…黙ってて欲しいの?もしかして…。ふふふっ…どうしようかなあ〜」


「こらこらっ…卑怯だぞっ…」

真澄が手を伸ばしてマヤのほっぺたを突付くとマヤはいたずらっ子のような笑みを浮かべた。


(桜小路…早く持ってきやがれ!今が見頃だぞっ…わははははっ!)



やがて、僅かにゴロゴロゴロ…と鈍い音を響かせ、上機嫌の真澄のサイドへ玉美がやってきた。


「はァ〜い♪おまたせしました〜!!”恋する二人の巨峰ソフト”でェ〜す!!」


(…!!!!!)


なんと、今回の彼女は…ローラーシューズを滑らせながらの登場だった。

…いや、そんな事よりも、なんと彼女が手にしているソフトクリームは高さ30センチはあるのでは

ないかと思うほどの巨大ぶり…。


「特別サービスでェ〜す☆ 特盛りにしておきましたからネッ!ご注文は以上ですか?」


「あ、ああ…」

放心状態で呆然と返事を返すことしかできない真澄。


一方、玉美の方は…すでに先ほどと同じようにクルリと回転していた。


「そ〜れ〜で〜は〜ごゆっくり!JUST SHAKEッッ!パート2!!!!!」



(………)



…もはや…真澄にとって玉美の言動など、どうでもよかった。

彼女が4回転半しようが5回転半しようが…このソフトの量を上回る衝撃はない…。


(これは人生最大のピンチかもしれない……!!!)

脳内に『ヤバイ』という文字が次々と浮かび上がり、彼の心を脅かす。


(おのれ…桜小路ッ!!これは俺に対する挑戦だなっっ!くそうっ!食うぞ!!食ってやる!!

そうさ、俺も男だ!!!男だからなっ!!責任がもてなくなるかもしれんが…)


自分でも何が何だか意味不明だ。



そして…

玉美がいつのまにか去ったことにも気付かないまま、真澄はまるで泥まんじゅうを頬張るトキの

ように、ただひたすら無心でソフトクリームを頬張ることになってしまった…。












「ありがとうございましたァ〜」


「……」


ようやく会計を済ませた真澄は急ぎ足で玉美に背中を向けた。


「またお越しくださいませ〜ェ♪♪♪」

(……二度と来るかっっっっ!!!!!)


ゲフッ



自分で注文したくせに、狩人バーグの後の巨峰ソフトはかなりキツいものがあった。 

ありとあらゆる高級食材に慣れた胃腸ではあるが、全く意表をついた本日のメニューには驚きを隠し

きれない様子であり、非常に危険な動きをしている。

やはり責任はもてなかった…。

しかし明日、顔色が悪いまま出社すれば仮病もバレなくて済むかもしれない…などと頭を働かせて

しまう抜かりない自分がいるので、案外まだ大丈夫かもしれない、とも思う。


…それにしても、ここまで無理をする必要が一体どこにあったであろうか。


(うう、一刻も早くこの店を出たい…)



「あ、ちょっとお待ちくださァ〜い!」


せっかく早足で店を出ようとしたところ、またしても甲高い声で呼び止められてしまい、二人は立ち

止まった。


「何だね…君?」

思わず玉美に冷たい視線を向けてしまう真澄。


「…はァい…実は、オープン記念の抽選があるんですよォ〜。よろしかったらどうぞ♪」


「まあ、何が当たるのかしら?」

抽選という言葉に反応したマヤはワクワクした顔つきで体の向きを戻し、レジに戻ってしまい、真澄

は慌てて後を追った。


「全部オリジナル商品ばっかりなんですよ〜ォ。いろいろ豊富に取り揃えてありますの〜♪」


玉美はゴソゴソとレジ付近の棚から箱を取り出し、マヤに差し出していた。

その箱はアメリカ国旗をイメージした星だらけの模様であり、里美茂のイメージアイテムであるポップ

コーンカップを思い出させ、無意識に嫌な気持ちが沸いてくる。

これも嫌がらせの一つなのか…?



一方、何も考えていないと思われるマヤは嬉しそうに箱に手を突っ込む。


「楽しみだなあ〜。えいっ…これに決めたわ!」


「はァ〜い、コレでよろしいですね♪…ちょっとお待ちくださァ〜い…」


玉美は手際よく紙をちぎっていき、すぐさま声をあげた。


「あ、あら!これ、スゴイわ〜!」


「…?え?何???」


「なんと、ペアのエプロンが当たりました!イラストレーターの葉子さんデザインでステキなんです

よ〜!ハイ、こちらでェす♪」



!!!うっ!!!!



おもむろに玉美に差し出されたエプロンを見て、真澄は白目になった。

そのエプロンにはABCというロゴが…。


(これは…!!!)


「あら、このエプロン、見たことあるわ…。えっと確か…」

マヤは必死で記憶を辿っているようである。


…しかし、真澄はとっくに分かっていた。これは、マヤが葉子の別荘で桜小路とペアで着ていたあの

エプロンと同じものだと…!

しかし、そんな詳しいことを知っているなんて、まるでストー○ーだと思われそうで言い出せない。


(くそうっ!!どうなってんだ!!なんでこんなモノをっ!)



その時、騒ぎを聞きつけたのか桜小路が厨房から飛んできていた。


「マ、マヤちゃん!まさかそれ、当たったの…?ウソ…だろ…」


桜小路は絶句していた。それはそうであろう。思い出のアイテムと同じものがマヤと真澄に渡る

ことになるなんて夢にも思わなかったに違いない。


桜小路はまるで取り繕うようにエプロンを引ったくり、まくし立てた。


「は、速水社長には、あまり嬉しくない景品ですよねっ!よかったら、他のものと交換しますから!

…ええっと、この万年筆とかどうですか!?」


彼が差し出した万年筆は……真っ黄色のベースに緑のストライプ模様が入り、ただでさえ安っぽい

上に、ハッキリとした文字で 「JUST☆SHAKE」 というロゴが入っていた。


(こんなバカバカしいモンいるかよっ!!!!だいたい、これほど珍しい種類の万年筆、もしも落と

したらすぐに俺の物だと分かってしまう上に、いい恥さらしじゃないかっっっ!!)


真澄はすぐさま、桜小路からエプロンを没収し、言葉を放った。


「いや、このエプロンが気に入ったからこれを頂くとしよう。エプロンなんて新婚にはもってこいの

スペシャルアイテムじゃないか!さっそく明日から使わせてもらうよ…いや、今夜からだな…」

真澄の意味深な発言に対し、マヤはきょとんと言葉を出す。


「え?もう今夜はお食事済んだのに…使うなら明日からでしょ?」


「いや、エプロンもいろんな楽しみ方があるならなっ…まあ、それは今夜じっくり教えてやろう…」


真澄の言葉を聞きながら桜小路は今にもぶっ倒れそうな顔つきで立ち尽くしている。


(…もう一息だ…もっと追い詰めるのだ、真澄!)


真澄は桜小路に詰め寄ると、彼の耳元で呟いた。


「…楽しい時間だったよ、ありがとう。君も頑張りたまえ。 今夜もマヤと楽しくJUST SHAKE

できそうだ…」



「!!!!は…う…!!!!!」



白目をむいたまま、桜小路は顔を引きつらせていた。


そんな彼を尻目に真澄はキッチリとエプロンを抱え、満足そうににマヤの肩を抱くと店を後にした。







「ねえ、本当にエプロン、使うの?あたし、エプロンの使い方なんてお料理以外では知らないの。

ねえ、教えてよ、真澄さん…」

純情なマヤは車に乗り込むとすぐにそんなことを尋ねてきた。


「さあ、それは後のお楽しみだな…フフフ…」

真澄はマヤが裸エプロン姿で恥ずかしそうに頬を染めるというトンデモナイ妄想をしてニヤリとして

言葉を返した。こんなことならプライベートルームにキッチンを設置してみるのもよかったなあ、などと

も思ったり…。


「わーん、イジワルっ!…あ、もしかして、夜食作ってくれるのかなァ?真澄さんっ?」


「あれだけ食べたのに夜食のことを考えるなんて…!!君は本当に食いしん坊だな…」

コツンと額に手を当ててからかうとマヤはエヘヘと笑う。 

実際には貰ったエプロンでアホな事を想像する自分のほうが本当にエロオヤジとしか言いようが

ないのだが。


「楽しかったわね!あたし、また近いうちにみんなとランチに来ようっと。その時また抽選してるか

な〜?そうだ、あの可愛い万年筆、もしも当たったら真澄さんにあげるね!」


「あ、ああ…」

真澄は心の底から ”いらねえよっ!” と思ったが、どうしたことかマヤからプレゼントされたもの

なら使いたい気もしてくるから不思議である。



それにしても…


またこれからも桜小路がマヤとの交流を狙ってくるとしたら、あのレストランはかなり危険だ、と彼は

思った。もちろん、そんなことでマヤが心変わりをしてあいつの元に走ることなど100000%有り

得ない話だとは思うものの、自分が会うことのできない時間にマヤを独占するなど、許せない行為

である。


(なんとかしなければ…!!!)


今日の出来事を一つずつ思い出しては怒りの感情を露にする真澄…。



彼は、満腹でうつらうつらとしているマヤを横目に厳しい表情でハンドルを握り、すぐさま次なる手

を打つために頭をフル回転させた。













それから数ヶ月後…




(よっしゃ〜!!仕事は終わった!マヤの待つ屋敷にレッツゴーーー!!!!)


今日も変わらぬにこやかな笑顔で帰宅を急ぐ真澄の姿があった。








あれからすぐ…JUST SHAKEは閉店を迎えた。

それは、あの店の真ん前に、超リーズナブルでイケメン揃いの店員を揃えた大型レストラン、その名

も「STAR LIGHT」がオープンしたことにより、客足が大幅に途絶えたのが最大の原因と言われて

いる。


ちなみに、そのレストランを企画・オープンさせたのは、言うまでもなく真澄本人であり、すべて計算の

上での事だ。

まあ、影のオーナーということでそれを知る人はほとんどいないが…。


(それにしても、これほど簡単に事が進むとはな…クックックッ)


「STAR LIGHT」は、実に大繁盛だった。

聖に任せて集めた人材は素晴しく、全員、右目を前髪で隠すというミステリアスなムードが女性客

の心を掴んだのだ。


また、桜小路の店をヒントにしたショーも当たりだった。

当然、ヤツのようなセンスの悪いショーではなく、モデルショーのようなクールなものだ。

当初は期間限定で適当に店を処分しても良いとさえ思っていたが、オーナーとしては良い小遣い稼

ぎにもなるため、しばらく営業を続ける方針に決めた。


(それにしても…ちょっとアイツには可哀想なことをしたかな…)


真澄はガラガラの店内でションボリとする桜小路を想像し、2mmほど胸を痛める。

…前回の訪問後、ABCエプロンでマヤと仲良くフレンチトーストなどを焼くシーンを撮影した画像を

2〜3回携帯に送りつけてやったのだが、それもさぞかしショックだったに違いない。

ちなみに他にもあのエプロンではイロイロと楽しませてもらったが、まあそれはあえて企業秘密という

ところだ。


(やれやれ…だな…)

真澄は高級車の後部座席に乗り込み、ホッと息をつく。


何から何まで迷惑かけた聖には、褒美としてしばらくハワイでの休暇を与えてあるし、本当にすべて

が上手く運び、再び爽やかハッピーライフが約束されていた。


(いや〜あいつのいない人生こそ、やはり最高だな。今頃は、また仏像彫りの修行でもしているの

かもな…。どうせなら札幌雪祭りで雪像を彫れるくらいまで修行することだな…。まあ、その時には

マヤと手を繋いで見に行ってやってもいいけどな……!!!!ハハハハハッ!!!!!)


彼は心躍らせたまま屋敷へと向かった…。





「おかえりなさ〜いい!真澄さん」

一足早く帰っていたのか、屋敷玄関での彼女の出迎えに顔がほころびそうになる真澄。


「ただいま…君は本当に相変わらずだな…」


「えへへへ〜♪」

ちゃめっ気たっぷりのマヤは本当に可愛くてたまらない。


「ところで、今日の仕事はどうだったんだ…?そろそろ新しい舞台の稽古も始まるだろう…?」



「うん、そうそう、あのね!実は今日の夕方、桜小路君が来たのよ…♪」

マヤは爽やかな顔をし、キッパリとそう彼の名を口にした…。



(????はて…???今、マヤは何と言った…???)




………?

サクラ…?

サクラ……コウ…ジ?


サクラコウジ!!!!!!!!!!






(な、なにィィィィィ〜〜〜!!!!!!)




「ほう…それは久しぶりだナ…彼は…確か料理人として活躍していたはずだが…」


「あのね…あの後、お店潰れちゃったって言ったでしょ?でね、いろいろ考えてやっぱり演劇界に

戻りたいって黒沼先生を訪ねてきて…今度は、歌って踊れる脚本家を目指すんだって!」




!!!!!!!!!



(なんっ、なんっ、なんだって??聞いてないぞっ聞いてないぞっ!!聖、聖はどこだっ!聖〜!!

…聖はハワイかっ!!一体、何をしているんだっ!!)


…何をしているもなにも休暇を与えたのは自分の方である。


(なんということだ…)


彼は放心状態でマヤの愛用しているスヌーピーシリーズのスリッパに足を通してしまう…。


「真澄さん、それ、あたしの…」


「……」


もはやマヤの言葉も耳に入らなかった。


こんなことになるのなら、料理人をしていてくれたほうがマシだったかもしれない…。

自業自得という言葉が脳裏を巡る…。


(な〜にが歌って踊れる脚本家だよっ!!!アフォかっ!!!)

真澄は下唇を噛み締める。


くううううっ!!!!


いや、ぼやぼやしている場合じゃないぞ!!こうなったら、次なる手立てを考えなくては!!




(桜小路め〜ッッ!!!!今度こそ本気で脳天ブチ抜いてやるから覚えてろ〜〜〜)






結局、日焼けした聖が緊急帰国させられる日は近いのであった。








(おしまい)












☆あとがき☆


ものすごーーーーーーく放置してしまい、完結も諦めかけたこの作品、終わらせることができて

本当によかったです!!(滝汗) 相変わらず、くだらねえ!有り得ねえ!原作無視しまくり!の

展開ですが、何度書いても桜小路とのバトルは楽しくてたまりません♪早く原作でも桜小路が

傷心(ハートブレイク)するほどラブラブになってほしいものです…♪最後までお付きいして下さ

ったパソコン前のアナタ!心から感謝でございます!

本当にありがとうございましたっ〜!!!JUST SHAKEッ!!!!(決めポーズ付き)



 

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