楽しい温泉旅行
20万ヒットキリリク作品です
「相変わらず落ち着きがないな・・・あと少しだよ・・・」 真澄はハンドルを握りながらクックッと笑い、隣ではしゃぎっぱなしのマヤにチラリと視線を送ると、輝かしい彼女の笑顔に心を癒され ていくのを感じた。
場所は、伊豆にある老舗の温泉旅館だ。真澄は、伊豆ならば自分の別荘でも良いのではないかと考えていたのだが・・・マヤの希望 で温泉旅館へと決定されたのだ。 マヤが喜んでさえくれれば、ディズニーランドだろうがサファリパークだろうが覚悟して行くつもりで いた真澄ではあるが、彼女から『温泉』という、まともな答えが返って来てホッとしたのも本音ではあった。
ふいに呟いたマヤの言葉に、真澄はドキリとする。 ・・・彼らは多忙の為、新婚旅行をおあずけにした状態のまま屋敷で暮らし始め、今回ようやく2日間の休みを合わせてとることがで きたのだ。 「ああ・・・そう言われてみればそうだな・・・」 何気ない表情で答える真澄。 本当は、彼の方こそ宙に浮きそうになるくらい、楽しみで仕方がないのだが。
『マヤと2人きりでイチャイチャとしながら貸切の露天風呂を楽しむ』 ということだ・・・・。
使用人や英介の手前、鼻の下を伸ばしながらデレデレと2人で風呂に向かうなどという姿を見せるわけにいかないからである。 もちろん、夫婦で使っている寝室の隣にはシャワールームもあるのだが、それと風呂とは別問題なのだ。 実際、結婚に伴って夫婦専用の浴室を作るという予定もあったというのに・・・真澄はついついカッコつけて『必要ない』などと言って しまったのだ・・・。 『やっぱり俺たち専用の浴室を作っておけばよかったな・・・』 心とはうらはらな事を言ってしまった自分に激しく後悔する真澄。
予約した部屋へと案内されるなり、キラキラと目を輝かせながら奥の間まで小走りしていってしまうマヤ。 「おいおい・・・子供じゃないんだから・・・」 真澄は呆れながらも、そんな彼女が愛しくてたまらなくなり、思わず目を細めて見守っていた。 こういう旅館に泊まる機会などめったにない彼女なのだから仕方ないであろう。
案内してくれた女将にそう問われると、真澄は 「ああ、頼むよ。」 と、即答した。
風呂を時間限定で貸切にできるのである。
女将が深々と頭を下げて部屋を後にすると、真澄は大きく深呼吸し、静かになった部屋の空気を存分に満喫した。
で過ごすことが多い日々なので、とても新鮮だ。
・・・すると、ちょうどマヤが正面の窓を開け放ち、真澄の目にも窓越しに美しい海の景色が飛び込んできた。
海風に髪をサラサラとなびかせながら、景色に見入っているマヤ。 水面はキラキラと夕日を反射させ、まるで舞台のスポットライトの ように彼女を包み込む。 真澄は、思わず背後から抱きすくめてしまいたい気持ちに襲われていた。 ・・・しかし、そんな事をしたら、どこまで自分の欲望を抑えられるのか自信がない。
マヤがグルグルとまわって・・・・・』 真澄の妄想パワーはヒートアップし、まるで”欽ちゃんの仮装大賞”の20得点を突き破るかのような勢いで急上昇だ。 ・・・これから待ち受ける楽しい事を思い浮かべると、なんとも気がソワソワして落ち着かない。 彼は思わず、金持ちのくせに 貧乏ゆすりなど始めていた。
ストンと座り込み、身を乗り出して彼に話しかけてきた。
体全体で嬉しさを表現するマヤ。そして、 「ハハハ・・・君はいつまでたっても大人気ないな。そんなに嬉しそうにして・・・」 と、相変わらずクールに振る舞う真澄。 ・・・自分だって貧乏ゆすりするほど楽しみで仕方ないのだが。
なんとも言えない、心地よい沈黙が流れていく。 聞こえるのは、マヤの吐息と波の音だけ・・・。
マヤにそう言われると、真澄はハッとしながら表情を取り繕って答えた。 「そうか?・・・俺は別に・・・」 「貸切なんだよね?2人きりのお風呂なんて初めてだもん・・・。いろんな事したいナ・・・・」 「!!!!!!」 マヤの言葉に、真澄は唾を飲み込む。 『こ、これは期待通りの展開だ!!!』
「あ!あたし・・・いろいろ準備もあるから先に行ってるね! 真澄さん、後から来てね!」 「!?!?」 ・・・あまりに一瞬に出来事で呆気にとられて身動きが取れない真澄。 マヤは言葉を言い終えるより先に立ち上がると、猛スピードで荷物を抱えてドアへと向かってしまったのだ。
彼は急いでタバコをもみ消しながら叫んでいた。 しかし・・・すでにマヤは一瞬で風のように姿を消してしまっていた。 本当に豆台風のような子だ・・・・。
ブツブツと文句を言いながら、真澄はガランとした部屋でションボリと立ち尽くしていた。
「あ、速水様。先ほど奥様が向かわれましたよ。今から貸切となりますので、どうぞごゆっくり堪能くださいませ」 「ああ、ありがとう」
真澄は踊り出しそうな心臓を抱えながら、満足気に脱衣場へと向かった。
赤くし、俺が声をかけるとドキドキしながら振り向くのではないだろうか? 恥ずかしがるマヤの後ろにぴったりと張り付いて抱きしめてみたい。そして、後ろからあれこれとちょっかいを出してやるんだ!!』 ・・・とうとう顔がニヤけてしまった。 真澄は脱いだ服を乱暴にロッカーに押し入れると、バンッと勢い良く扉を閉じ、タオルを腰に巻いて気合を入れた。 『よーし!待ってろよ!マヤ!!』 思いきり鼻息を荒くしつつ、足を進める真澄。
彼は、露天風呂に繋がる最終のドアを開けた。
「なっ!!!!!!!!!」
そこにいる彼女は・・・・紺色のスクール水着&ゴーグルを装備し、笑顔で大きく手を振っていたのだ! 「!?!?!?!?!?!?」
「え?準備体操ですよ。泳ぐ前の・・・・」 ポカンとした表情で答えるマヤ。
いるんだよっ!」 「え?・・・・だから、泳ぐために・・・だけど・・・」 マヤは、真澄が何をそんなに不審に思っているのか全く理解できていないようだった。
「・・・・・・ダメなの?露天風呂って水着着用は禁止だったかしら・・・?」 「・・・・そうじゃないんだが・・・・・・・・」 あまりにも理解力のないマヤに、真澄は呆れて白目青筋で言葉を詰まらせた。
真澄は心の中で絶叫した。 こうなったら、あまりにムードのないマヤに少しは説教でもするべきであろうか・・・・。 彼がそんな事を考えていると、マヤは、ふいに意外な言葉を口にした。
「あ・・・あああ・・・?確か、そうだったな・・・」 「だからあたし・・・探し出して持ってきたのに・・・。普通のプールでスクール水着は恥ずかしいけど、貸切のお風呂でなら見せれる かな、って・・・・」
とったのだ! そんな彼女の気持ちも考えず、一方的に自分の思いを押し付けようとしていた俺は一体・・・・。
真澄の言葉に、マヤは一瞬で笑顔を取り戻す。
「ああ・・・」 真澄は早くも考えを改め、別の楽しみへと気持ちを切り替えていた。 『そうか・・・あのスクール水着を脱がせてみるのもいいナ・・・・・フフフ・・・・・』 よくよく見ると、ずいぶん女らしい体型になった彼女がピチピチのスクール水着姿になっているというのは、ものすごく興奮させる オーラが漂っているではないか・・・。 真澄はゆっくりと彼女に近づいていく。
「わぷっっ・・・・!!!!」 あまりに急な出来事で、真澄は普段出さないような擬音で体を仰け反らせた。
「!?!?!?!?!」 真澄が情けない顔で呆然としていると、マヤはドブンと飛び込み、逃げるようにして姿を消した。 真澄の顔にかかった湯は鼻へと進入し、彼はジンジンとした懐かしい痛みを感じながら湯船へと入る。 すると、どんどん遠くへと泳いで逃げるマヤが目に映り、真澄の血を熱くさせた。
真澄は、とうとうマヤのペースに巻き込まれ、真剣にクロールを泳ぎ、彼女を追いかけるハメになった。 妖精パックの稽古で鍛えたマヤは大変すばしっこく、真澄は必死だった。 やはり11歳の年の差は大きく、マヤはなかなか捕まらない のだ・・・。 おまけに、この温泉は乳白色・・・・・潜ってしまうと姿が見えないのだ! 真澄は時折、マヤに水鉄砲で攻撃され、ヨレヨレになりながらも泳ぎ続けた。
ハッと声のした方へと視線を移すと、彼女はいつの間にか湯船から上がり、飛ぶようにして走って逃げていった。 『くそおっ!大都芸能社長の俺様が、11歳も年の離れたマヤに・・・!!ま、負けるものか!!』 2人のはしゃぎ声は露天風呂の外にも丸聞こえになり、バカバカしい時間は流れていく・・・・。
消え去った。
*このお話には地下室に続きが・・・(ぼそり) ××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× あとがき 20万ヒットのキリバンゲッターのtakumiさんからのリクエスト(いくつか頂いたんですが)の中で、「2人で温泉!ムフフなことを考える 真澄&ボケのマヤ」というものをチョイスし、書かせて頂きました♪ とにかく忙しい時期ゆえに、雑文で大変失礼しました。なんだか 内容も薄っぺらくて・・・(涙) もしよろしければ、続きも・・・・・・(ごにょごにょ) ・・・ありがとうございました。 ふわふわ |
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