ぼんやりと目にしていた。
くのが分かる。
・・・サイドボードに置かれた小さなカレンダーには、マヤの付けたハートのマーク。
彼女は小さな体を丸め、まるで気を許したような表情で瞳を閉じている。
あどけない表情とは不釣合いに ほのかな色気を感じさせる、なだらかな彼女の肩が露になっていたからだ。
すぐ手が届く距離にいる、その彼女の首元には無数の赤い花が咲き乱れていた。
二人で抱き合い、求め合える現実は、愛に飢えていた自分を急速に過去のものへと変えてくれた。 彼女と過ごす時間は、一瞬一瞬が眩しく、かけがえのないものとなっていく・・・。
彼は飽きることなくマヤの寝顔を見つめ直し、肩をすくめていた。
こういう気持ちを彼女は分かっているのだろうか・・・?
『・・・今日ばかりは早起きすると言っていたはずだけどな・・・』
時間の寂しさを埋めるようにして肌を合わせていた。
向けているのに気付く。
彼女は、布団の中で足をバタバタさせながら本当に嬉しそうに、まっすぐに彼を見つめてそう言った。
真澄は心の中で呟いていた。
始め頃だった。 ”どこに行きたいのか”と尋ねたところ、しばらく悩みに悩んだ末、”ディズニーランドに行ってみたいの”と、 上目遣いで答えたマヤ。 その仕草があまりにも可愛く、真澄は抱きしめたいと思うほどの気持ちを抑えつつ、”そんな子供染みたところ でいいのか” などとイヤミを言ってしまった事をよく覚えている。
真澄は、わざと冷静にそんな言葉を出した。
これも予想通りの彼女の反応だった。
真澄は笑いながらベッドサイドに立ち降りる。
「・・・速水さんは・・・・楽しみじゃないの?」 と、あの可愛い上目遣いを再現させたような表情で彼女が尋ねてきた。
真澄はタバコを取り出しながら、無意識に出した自分の言葉に少し驚いてしまう。 無理に彼女に話を合わせた訳ではなく・・・・・・本当にそう思っているからなのか・・・。 彼は、吸おうとしていたタバコを手にしたまま、不思議な気持ちに包まれていた。
彼女と過ごすようになり、まるで生活が一変したのは言うまでもない。 二人で共に行動するだけで、通り過ぎる街の風景すら違って見えるくらいに・・・。
「そんなことないさ。 俺もミッキーに会えると思うと、胸が騒いで寝れなくなりそうなんだ・・・」 マヤが申し訳なさそうに顔を僅かに傾けると、真澄は気持ちを悟られないように彼女をからかっていた。
頬を膨らませた彼女が食ってかかる。
気合たっぷりでそう言う彼女は本当に子供のようで可愛くてたまらない。
「・・・・う・・・」 本当のことを言っただけなのに、マヤは悔しそうに唇を噛み締めていた。 こういう顔をするから、ついついからかってしまいたくなるのだ。
デート代、払いましょうかっっ!?」 勢いでそんなことを言い出したマヤに対し、真澄はクスクスと笑いながら答えた。
「またバカにしてるでしょっ! もう寝るからね〜!おやすみっ」
急に静けさが部屋中に広がる。 ・・・本当に眠ってしまったのだろうか。 顔を覗きこんで鼻をつついてみても、まるで反応がない。
どうしてだろう・・・。
『明日も晴れそうだ・・・・』 心の中からそう語りかけたものの、彼女はすでに夢の中。
真澄は呆れながらも、そんな彼女だからこそ愛しくてたまらないんだと実感する。
どんな暗闇をさまよい続け、一生を終えることになっていたのだろうかと。 そんなことは全く意味のない想像だと分かっているはずなのに。 まるで今の幸せを確かめるかのように、無意識に考えてしまうものなのだろうか・・・。
すべすべとした化粧気のない肌、そしてクルリとしたまつ毛に、今は閉じている大きな瞳。 抱きしめると折れてしまいそうなほど華奢な肩とほっそりした腕。 その黒髪も、生意気を言う口も、とにかく彼女のすべてが愛しいと思う・・・。
冷え切ったレールの上を突き進む彼に、別の道を与えてくれたのは彼女だけ・・・。
口が裂けても彼女には言えないであろうセリフが思わず滑り出しそうになってしまう。
に吸い込んだ。
来年も、再来年も・・・彼女の隣で祝う権利は誰にも渡さない。 『俺だけのものだ・・・』 真澄は再び、彼女の頬に吸い寄せられるようにしてキスをする。
「一生かけて君を守るよ」 と、自分自身にも誓うように囁いていた。
ふいにマヤがもぞもぞと体を動かしたのを感じ、真澄は急いで瞳を閉じる。
だいたいの想像はついているけれど・・・。
自分でも顔が緩みそうだと思った。
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×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× ワタシはよく、槙原敬之さんの曲を聴くので、その影響で書いたお話だったりします。 せつない曲も多いけど、わりと幸せな曲が好きです♪ 「HOME WORK」 「君は僕の宝物」 「今年の冬」は、きゅう〜〜んと胸が一杯になりますね〜。 このお話は、「HOME WORK」からイメージしました。 「こんな風に愛されたい〜〜っ」という、ワタシの願望だな・・・(ヲイヲイ) ついでに、セコ社長バージョンの場合、このお話は会議中の彼の妄想だったりね(虚しいぞっ)
ようやく会える!っていう時は、夏休みの宿題を終えた後のような気持ち。 会えない時間を頑張った分だけ、 会えた瞬間は何倍も嬉しいのです。 彼となかなか会えない日々を送っている人も、たくさん宿題を 頑張って欲しいな。 もちろん、このお二人さんにもねっ( ̄ー ̄)ニヤリッ
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